「耐震等級は意味ない」って本当?基礎知識やメリット・デメリットを解説
家の耐震性を評価する一つの基準として知られている「耐震等級」ですが、色々と調べると“耐震等級が高いほど地震に強い”・“耐震等級が高くても意味がない”と、両極端な情報が目に止まります。
そうなると、果たして何を信じればいいか分かりませんよね。
そこで、今回は建築士が「耐震等級」の基礎知識や様々な意見がある理由を解説します。
「地震に強い家」を建てたいという方は、ぜひ参考にしてください。
■ 地震に強い家にするためには、耐震等級と合わせて、地盤改良や免震・制振技術も重要です。
■ アイホームズには、昭和43年創業以来、都内を中心に「地震に強い家」を数多く手掛けてきた実績があります。
目次
「耐震等級」とは|等級の違いや基準
耐震等級とは、2000(平成12)年に施工された「住宅の品質確保の促進などに関する法律(品確法)」の中で制定された「住宅性能表示制度」に基づく、地震に対する強さを評価する指標です。
住宅性能表示制度は、一般の方では分かりにくい住宅性能を客観的かつ公正に表すために設けられました。
住宅性能表示制度は、良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられた制度となっており、具体的には以下のような内容となっています。
・住宅の性能(構造耐力、省エネルギー性、遮音性等)に関する表示の適正化を図るための共通ルール(表示の方法、評価の方法の基準)を設け、消費者による住宅の性能の相互比較を可能にする。
・住宅の性能に関する評価を客観的に行う第三者機関を整備し、評価結果の信頼性を確保する。
・住宅性能評価書に表示された住宅の性能は、契約内容とされることを原則とすることにより、表示された性能を実現する
(引用:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会)
住宅性能表示制度の一部が「耐震等級」です。
2024年1月時点では、等級1から等級3まであり、数字が大きいほど地震への強度が高いことを表します。
【耐震等級1】 | 建築基準法(1981年制定の新耐震基準)で定めている耐震性能で、大地震(震度6〜7強)で建物が崩壊しない程度 |
【耐震等級2】 | 耐震等級1の「1.25倍」の耐震性能で、大地震(震度6〜7強)で建物の被害が一部の修繕に抑えられる程度 |
【耐震等級3】 | 耐震等級1の「1.5倍」の耐震性能で、消防署・警察署など、防災における拠点となる建物と同等 |
ちなみに、1981年建築基準法改正前に建てられた旧耐震基準建物で、耐震性能において現行の建築基準法に則していない建物は、「等級0」と呼ばれています。
「耐震性能」の基準とされているのは、以下の4項目です。
- 「建物重量」(建物が軽いほど揺れ幅が少なく、衝撃が小さいとされており、屋根材や外壁材の種類が評価対象)
- 「耐力壁の長さ・柱の本数」(筋交や構造用合板を用いた耐力壁の長さが評価対象)
- 「耐力壁の配置バランス」(耐力壁の位置が偏ると地震力の負荷が集中するため、各階の配置バランスが評価対象)
- 「基礎や床の耐震性」(基礎や床の仕様によって地震による変形リスクが異なるため、どのような設計になっているかが評価対象)
これらの評価結果をもとに、「損傷防止」「倒壊等防止」の観点から等級が決定します。
「損傷防止」
数十年に1度は起こる可能性のある地震・暴風・積雪などの外力に対して、“大規模な工事を伴う修復”が必要となるほどの損傷が生じないか
「倒壊等防止」
数百年に1回は起こる可能性のある地震・暴風・積雪などの外力に対して、損傷は受けても倒壊しないための対策が取られているかどうか
建築基準法で定められている「耐震基準」は、人命を守ることが目的であるのに対して、品確法で定められている「耐震等級2・3」は、人命も建物も守ることが目的です。
〈おすすめコラム〉
耐震等級3の家は地震に強い?耐震等級の意味と特徴を詳しく解説!
「耐震等級」をとるメリット
耐震性能が高いことが公的に証明される「耐震等級」ですが、認定費用をかけても取得するメリットがあります。
「地震に強い家になる」
2016年に発生した熊本地震では、建築基準法レベルの耐震性能を持つ住宅と耐震等級3を取得した住宅とでは、被害状況に大きな差が出ました。
つまり、耐震等級が高い家ほど、地震に強くなるということです。
実際に、1981年建築基準法改正前に建てられた「旧耐震建物」と、「耐震等級3建物」を比較すると、2.1倍もの耐力壁が必要になります。
地震保険の割引が受けられる
耐震等級を取得すると、地震への強さが客観的に評価されるため、地震保険が割引されます。
- 耐震等級1:割引率10%
- 耐震等級2:割引率30%
- 耐震等級3:割引率50%
「耐震等級が高い=家屋や家財品の被害が少ない」と評価されるからです。
ただし、耐震割引制度の対象となるためには、住宅性能表示制度に基づいた公式な認定が必要で、同等の耐震性を持った住宅でも、認定を受けていなければ割引制度は受けられません。
住宅ローンの金利引き下げ
耐震等級2もしくは3の認定を受けると、住宅ローンの金利が引き下げられます。
例えば、住宅金融支援機構「フラット35」の場合は、以下のように金利が引き下げられます。
【耐震等級2】 | 年▲0.25% 金利引き下げ期間5年 |
【耐震等級3】 | 年▲0.25% 金利引き下げ期間10年 |
ちなみに、金融商品によっては、住宅性能表示制度の正式な認定を受けた住宅以外にも、同様の技術基準をクリアすれば、適用される可能性があります。
技術基準に示す等級表示は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)に基づく住宅性能表示制度の性能等級と同じです。
住宅性能評価書を取得しなくても所定の物件検査に合格すれば、【フラット35】Sを利用できます。
(引用元:住宅金融支援機構|【フラット35】Sの対象となる住宅)
ただし、金利引き下げ割合や対象条件はローン商品によって異なりますので、詳細は各金融機関へお問合せください。
長期優良住宅の認定を受ければ減税対象に
長期優良住宅とは、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」を指します。
認定を受けるには、耐震等級2以上であり、さらに、その他省エネルギー性や劣化対策など様々な要件をクリアしなくてはいけません。
ただし、長期優良住宅として認定されれば、住宅ローン減税の対象借入限度額が引き上げられ、新築住宅の場合は、控除額上限が140万円から409.5万円まで増額されます。(参考:国土交通省|認定長期優良住宅に関する特例措置)
〈おすすめコラム〉
「耐震等級1で十分」「耐震等級3にして後悔した」と思われる理由とデメリット
「耐震等級1で十分」と言われる理由は、現行の建築基準法による耐震基準で、“最低限”人命は守られる可能性が高いからです。
しかし、実際はご自宅が倒壊すれば再建に費用がかかり、日常生活が維持できなくなる可能性は決して低くありませんよね。
そうなると、「やはり耐震等級が高いほどいいのでは?」と思う方が多いでしょう。
ところが、「耐震等級3にして後悔した」「耐震等級は意味がない」という意見も少なくありません。
その理由は、耐震等級を上げるデメリットやあまり知られていない盲点があるからです。
「間取りの自由度が低い・制限が多い」
耐震等級3の認定を受けるには、建築基準法で定められた壁量以上に耐力壁が必要になったり、柱や梁を太くしたりしなくてはいけません。
また、出来るだけ上下階の壁位置を同じにすることが理想的です。
そのため、大空間や開口部の大きい空間、吹き抜けのある空間などが作りにくく、自由な間取り・建物形状を実現する上で障壁となる可能性があります。
「建築コストが高くなる・認定費用がかかる」
耐震等級を2もしくは3にするためには、構造体の仕様グレードを通常よりも高めなくてはいけません。
そのため、どうしても材料費・施工費が高くなってしまうのです。
さらに、住宅性能証明書を取得するためには、審査などの手続きに25〜30万円程度かかります。
ただし、耐震等級2・3の認定を受けると、地震保険の割引や減税制度の対象となる可能性があるため、コスト面でのメリットとデメリットを比較して検討することが重要です。
「住宅の耐震性を高めただけでは地震被害を防げない」
建物がいくら頑丈で耐震性が高くても、それだけで地震の被害を確実に防げるとは言い切れません。
家の建つ地盤の強度もとても大切です。
建築基準法改正によって、住宅を建てる前に地盤調査することが義務付けられたものの、地耐力の最低強度だけ決められているだけで、具体的な地盤改良方法に関する規定はありません。(参考:建築基準法施行令第93条「地盤及び基礎ぐい」)
そのため、東京都心部など液状化リスクのある地域に家を建てる際には、地盤改良についても十分な検討が必要です。
〈おすすめコラム〉
地盤が緩い土地とは|地名などの特徴で見分けるポイント・マイホーム新築時の地震対策など解説
耐震等級2・3“相当”には要注意
建築会社の中には、耐震制度の仕様が「耐震等級2・3相当」と明記されているところもあります。
“地震に強い家にする”ことだけが目的であればそれほど問題ではありませんが、公的な認定ではないため、地震保険の割引制度は受けられません。
また、長期優良住宅の認定も受けられないため、減税制度の対象にもなりません。
そして、「耐震等級2・3相当」とうたわれている場合は、その根拠となるデータを確認することも重要です。
なぜなら、正式に耐震等級2・3と認定された場合は第三者機関による性能評価が行われますが、それ以外の場合は自社による独自の判断基準であるかもしれないからです。
「地震に強い=耐震等級が高い」だけじゃない|耐震・免震・制振・地盤強度のバランスが重要
「本当に地震に強い家」にするためには、耐震性能を強化するだけではなく、地盤強さ(地耐力)の強化や免震・制振技術を取り入れた総合的な構造計画が必要です。
実際に、東日本大震災や能登半島地震では、建物の被害は免れたものの、地盤の液状化現象によって住めなくなってしまった住宅も少なくありません。
そのため、地盤を強化してその上に地震に強い家を建てる必要があります。
その際、耐震等級2・3レベルの高い耐震性を確保する方法もありますが、そのほかに、免震・制振システムを取り入れて、建物に伝わる地震力を最小限に抑える方法もおすすめです。
- 耐震・・・地震の力に対して建物の強度を増すことで対抗する
- 制震・・・地震の力を受け流す構造により建物の揺れを制御する
- 免震・・・地震の力をそもそも建物に伝えないようにする
ただし、免震・制振は建築基準法上の規定がなく、どのハウスメーカー・工務店でも対応できる訳ではありません。
また、地盤改良についても知識が豊富かどうかも建築会社を選ぶ上で忘れてはいけないチェックポイントです。
〈おすすめコラム〉
【耐震・制震・免震】どれがいい?特徴・お金を知って、あなたに合った地震対策を!
「地震に強い木造の家」特徴は?住宅の耐震性能・間取り・ハウスメーカー選びについて
● 地盤の詳細まで調査できるSW(スウェーデン式サウンディング)試験機を使用した徹底した地盤調査を実施しています。
● 必要に応じて、液状化現象にも対応できる地盤改良を実施しています。
● 一般的なベタ基礎(鉄筋太さ10mm・基礎幅120〜150mm)よりも強度の高い、直径13mmの鉄筋+基礎幅180mm(もしくは耐Qパネル)を標準仕様としています。
● 都内でも施工会社が限定される「最先端地盤改良(HySPEED(ハイスピード)工法)」や「免震⼯法(スーパージオ⼯法)」、「制振工法(装置『SSダンパー』)をご提案しています。
● 条件によって、「地盤保証(最大3億円・10年間)」「液状化保証(最大1億円・10年間)」「免震保証(最大1億円・10年間)」をご提供しています。
● 第三者機関による「基礎配筋検査」・「構造検査」・「断熱検査」・「完了検査」を実施して、お客様に100%安心していただける住まいづくりを行なっています。
地盤保証制度など、ご安心いただけるサービスもご用意していますので、“地震に強い家”を建てたい方は、お気軽にご相談ください。
アイホームズでは、東京都墨田区、江東区、台東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区、北区(東側)、文京区、千代田区、中央区、千葉県市川市、松戸市(南部)、埼玉県八潮市で数多くの狭小住宅新築や建て替えを行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
耐震等級は、一般の方でも住宅の耐震性を客観的に分かりやすく理解するために有効な制度です。
地震に強いだけではなく、地震保険割引や住宅ローン金利引き下げ、減税制度などのメリットもあります。
ただし、間取りに制限が生まれて、コストが高くなるなどのデメリットがあり、エリアによっては、耐震等級を取得しただけでは地震による被害を防ぎきれない可能性は否めません。
そのため、耐震等級を過信せず、地盤改良や免震・制振技術と合わせた総合的な構造計画を建てられる建築会社に相談しましょう。
アイホームズは、昭和43年創業時から『孫の代まで安心して暮らせる家づくり』を信念とし、各種有資格者がチーム一丸となって、お客様のマイホーム計画をお手伝いしてきた実績があります。
施工エリアは墨田区、江東区、台東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区、北区(東側)、文京区、千代田区、中央区、千葉県市川市、松戸市(南部)、埼玉県八潮市と、何かあったときにすぐ駆けつけられるエリアに限らせていただいております。
アイホームズでは「耐震」「制振」「免震」をうまく組み合わせ、地震に強い家を実現しています。
通気工法と断熱材にこだわることにより、高気密高断熱の家を実現します。
「費用を抑えて、希望の住まいをお得に建てたい」アイホームズは適正なコストダウンでお客様の無理のないご予算内でのご提案に努めます。
品質の向上とコストの低減は、当社自慢の職人によって可能にしています。
住宅完成保証・住宅瑕疵保険・地盤保証・液状化保証・免震保証・最長60年長期保証(オプション)で永く安心して暮らせます。
マイホームづくりを検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社 アイホームズ
FAX:03-3613-6149
その他のコラム