木造住宅は「地震に弱い」って本当?高耐震な家のポイントと鉄骨造との比較
これからマイホームを建てる方必見です。
「木造は地震に弱い」と思われる理由と、地震の倒壊リスクが低い家の条件を紹介します。
熊本地震や能登半島地震の木造住宅倒壊数データや鉄骨造との比較についてもお話ししますので、家の新築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
■ 地震に強い家にするためには、耐震性能を上げるだけではなく、地盤強度や免震・耐震技術を取り入れた工夫が必要です。
■ アイホームズは、昭和43年創業以来、東京23区を中心に、木造・鉄骨造の「地震に強い家」を数多く手掛けています。
目次
木造住宅は「地震に弱い」って本当?能登半島地震・熊本地震の被災状況
みなさんの記憶にも新しい2024年1月1日に発生した能登半島地震や、2016年に発生した熊本地震では、木造住宅の全壊・半壊が多く報告されています。
そのため、「木造は地震に弱い」と思う方は多いかもしれません。
では、実際のデータを紹介します。
まず、2016年に発生した熊本地震では、累計297棟もの木造建物が全壊しました。
ここで注目すべき点は、その家が建てられた時期によって、倒壊率に大きな差が出ている点です。
耐震基準 (建築確認を受けた時期) | 倒壊率 |
---|---|
旧耐震基準木造住宅 (〜1981年5月) | 28.2% |
新耐震基準木造住宅 (1981年6月〜2000年5月新築) | 8.7% |
新耐震基準木造住宅 (2000年6月以降新築) | 2.2% |
国土交通省が主体で住宅の被災状況を調査したところ、2000年6月以降に建築確認を受けた住宅は61.4%が無被害で、32.6%が軽微な被害で済んだという結果も出ています。(参考:国土交通省|「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント)
一方、能登半島地震では、合わせて8,571棟もの住宅が全壊しており、各県の木造率から推測すると、およそ8,100棟が木造住宅と考えられます。※2024年5月28日時点(参考:国土交通省|令和6年能登半島地震における被害と対応について(第99報)、林野庁|都道府県の戸建て木造率とは?)
能登半島地震でも、現時点で分かっている限り、やはり旧耐震基準の古い住宅を中心に全壊などの被害を受けています。
過去に起きた大地震の被災状況を見ると、「旧耐震基準の木造住宅は地震に弱い」ことが分かります。
新耐震基準、特に2000年建築基準法改正後に建てられた木造住宅は、多くが大地震を受けても、軽微な破損で済んでいるのです。
地震大国である日本において、木造住宅の耐震基準は、確実に向上しています。
1959年 (昭和34年) | 【建築基準法改正】 木造建築物における壁量規定が強化され、床面積あたりの必要壁長さや、軸組倍率(筋交の有無など)に関する内容が見直される。 |
1971年 (昭和46年) | 【建築基準法施行令改正】 木造建築物の基礎は、コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の布基礎とすることが規定される。 |
1981年 (昭和56年) | 【建築基準法施行令改正(新耐震基準へ)】 木造建築物は壁量規定が大幅に見直され、床面積あたりの必要壁長さや、軸組倍率(筋交の有無など)に関する内容がより一層強化される。 |
1995年 (平成7年) | 【建築基準法改正】 木造建築物において、接合金物等の設置が推奨される。 |
2000年(平成12年) | 【建築基準法・建築基準法施行令改正】 地耐力に応じて基礎の種類を限定することとなり、地盤調査が事実上義務化される。また、木造建築物においては、接合金物の仕様特定や設置義務も盛り込まれ、建築確認の際には、耐力壁のバランス計算や偏心率の簡易計算も必要となる。 |
2001年 (平成13年) | 【住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)制定】 木造建築物の耐震性能レベルを表す指標である耐震等級が規定される 〈耐震等級1〉 1981年制定の新耐震基準に則した耐震性能をもち、大地震(震度6〜7強)の力を受けても、建物が“崩壊しない程度”に抑えられる 〈耐震等級2〉 耐震等級1の「1.25倍」の耐震性能で、大地震(震度6〜7強)の力を受けても、建物の被害が“一部修繕が必要な程度”に抑えられる 〈耐震等級3〉 耐震等級1の「1.5倍」の耐震性能で、消防署・警察署などの防災拠点と同等の耐震性能を持ち、なる建物と同等 |
これら今までの変遷を見ると、「木造住宅が地震に弱い」と言われる理由は建築時期にあり、新しい住宅は、過去の大地震レベルの地震力を受けても、全壊・半壊するリスクは高くないと言えるでしょう。
過去の調査によると、2020年に新築された木造住宅の「97.3%」が耐震等級3レベルの住宅であることも分かっています。(参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会|住宅性能評価を受けた新築住宅に係る統計情報の集計について)
木造住宅に使われる木材は、鋼材やコンクリートよりも比重が小さいため、「軽い割に丈夫」な材料です。
また、揺れや変形に対応できる柔軟さもあることから、地震へはある程度抵抗できます。
そのため、木造住宅が地震に弱いということはありません。
南海トラフ地震・首都直下地震に備える|地震に強い木造住宅の条件
関東から九州にかけて強い地震と高い津波が発生する可能性のある「南海トラフ地震」と、首都圏ほぼ全域が危険地域とされている「首都圏直下地震」は、2050年までに70%の確率で発生すると予測されています。
東京エリアの予測震度をみると、南海トラフ地震で震度5弱程度、首都圏直下地震は震度5弱から震度6強の揺れを受けるとされています。
そのため、東京エリアでこれから木造住宅を建てる場合は、建築基準法で定められている以上の耐震性能が必要です。
では、地震に強い木造住宅にする条件を一つずつ紹介します。
液状化対策・地盤改良(補強)を行う
東京エリア、特に23区東部は、広域にわたって液状化リスクがあります。
いくら住宅を耐震等級2・3レベルの高耐震住宅にしても、地盤が緩ければ地震によって地盤沈下して、家は傾いてしまいますよね。
能登半島地震でも、富山・石川・新潟の3件で2,000ヶ所を超える地点で液状化が確認され、それに伴って住宅も被災しています。
液状化対策として、発生リスクの低い場所を敷地に選定する方法もありますが、リスクの高い場所でも、適切な地盤改良・地盤補強をすれば「地震に強い家」は建てられます。
アイホームズでは、東日本大震災でも住宅を倒壊や地盤の不同沈下から守った実績のある地盤改良工法「スーパージオ工法」や、液状化に高い効果を発揮する「HySPEED(ハイスピード)工法」を採用しています。
10年間・最大3億円の「地盤保証」と10年間・最大1億円の「液状化保証」が付きますので、夢のマイホームで安心して暮らしていただけます。
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耐震等級2・3のレベルにする
地盤をしっかり調査・補強した上で、耐震性能の高い住宅を建てることももちろん重要です。
年々建築棟数が増えている「長期優良住宅」の認定要件を満たしていれば、耐震等級2以上を備えていることになります。
ただし、耐震とは「地震の揺れに耐えられる性能」を指し、これだけでは構造体へ加わった小さなダメージが蓄積されてしまいます。
そのため、最近は耐震性能だけを高めるのではなく、免震・制振と組み合わせて、地震力のダメージを受けないようにする設計の家が増えています。
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免震・制振設計を取り入れる
免震とは、建物と地盤を切り離して地震力の影響を受けないようにする設計手法で、制振は地震力を受け流して構造への影響を小さくする方法です。
耐震等級1の住宅でも免震・制振設計を取り入れれば、大きな地震でも被害を抑えられます。
耐震性能だけが地震力に抵抗する方法ではないのです。
住宅の規模や形状、間取り、敷地の条件に合わせて「耐震・免震・制振」を組み合わせた構造の家こそ、本当に地震に強い家と言えるでしょう。
アイホームズでは、免震工法と通常よりも高耐震高耐久の基礎づくりを標準仕様とし、そこに耐震・制振性能を組み合わせ、地震に強い家を実現しています。
地盤保証・液状化保証に加え、10年間・最大1億円の「免震保証」も付きます。
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構造計算の得意な建築会社を選ぶ
2024年時点では、一般的な2階建て木造住宅は、建築確認において構造計算は義務付けられていません。
2025年以降は、構造に関するチェックが細かくなるものの、やはり構造計算はしなくても良いのです。
しかし、地震に強い家にするためには、本来、地盤の状態や特性、建物規模(大きさ・階数)、間取りに合わせて耐震・免震・制振を組み合わせ、緻密に構造設計しなくてはいけません。
そのため、義務化されていなくても詳細な構造計算をできる建築会社がおすすめです。
アイホームズでは、建物に対してかかる地震力を分析し、全棟にしっかりと構造計算を行なっております。
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木造と鉄骨造だとどちらが地震に強い?
木造住宅と合わせて戸建て住宅に採用されることのある鉄骨造ですが、地震への強さだけで評価すると、木造よりも有利です。
なぜなら、鉄骨に用いられる鋼材の方が、木材よりも強度が高く、粘り強さもあるからです。
ただし、木造よりも鉄骨造の方が建築費用が高く、建物荷重が重くなるため、地盤補強に更なるコストがかかる可能性もあります。
実際に、4階建てまでの戸建て住宅であれば、木造でも十分な地震抵抗力を実現できるため、戸建て住宅のほとんどは「木造」が占めています。
ちなみに、2023年の新築戸建て住宅(持ち家)における木造率は88.6%で、鉄骨造率は10.3%です。(参考:国土交通省|住宅着工統計2023年次)
コストと地震への強さのバランスを考えると、4階建までの戸建住宅は「木造」、それ以上の階数(6階まで)、もしくは、敷地が防火地域にある場合は「鉄骨造」が適しています。
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まとめ
地震のニュースを見ると、残念なことに全壊・半壊した木造住宅の映像を見かけます。
しかし、「木造住宅=地震に弱い」という訳ではありません。
地震への抵抗力は、構造種別よりも建築時期によって変わります。
新築木造住宅の中には、大地震(震度6〜7強)の力を受けても、建物の被害を軽微に抑えられる住宅は数多く存在するのです。
地震に強い木造住宅を建てたい方は、「適切な地盤改良」「分析データをもとに練られた耐震・免震・制振を融合させた構造設計」を実現できる建築会社へ相談しましょう。
アイホームズは、昭和43年創業以来、東京23区内で「高気密高断熱+高耐震」の家をリーズナブルな価格で数多く手がけてきた実績があります。
ずっと安心して住み続けられる家を建てたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社 アイホームズ
FAX:03-3613-6149
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