耐火建築物・準耐火建築物の基礎知識と建蔽率緩和について解説
東京都、特に23区に近い都心部では、防火地域もしくは準防火地域に指定されているエリアも多く、そこに住宅を建てる際には、耐火建築物について理解を深めておかなくてはいけません。
また、条件次第では建蔽率が緩和される可能性もあります。
そこで、今回は防火地域・準防火地域に必要な基礎知識から、建蔽率の緩和条件についてまで、詳しく解説します。
都心部でこれからマイホーム計画を始める方は、ぜひ参考にしてください。
■ 建物を耐火建築物・準耐火建築物にすることで、建蔽率の緩和が認められる可能性があります。
■ アイホームズは昭和43年創業時から、『孫の代まで安心して暮らせる家づくり』を信念として『安全で強い家』にこだわりを持った地域密着⼯務店です。
目次
防火地域・準防火地域とは?耐火建築物・準耐火建築物の違いは?
住宅を都市の一部として捉え、周辺との調和や文化的な生活の実現を目的として作られたのが「都市計画法」です。
その中で定められているのが「用途地域」で、エリアごとに建物の用途や高さ、大きさを制限しています。
用途地域を明確に分けることで、秩序あり安全で文化的に暮らせる街が守られるのです。
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用途地域と併せて重要なルールが、「防火地域・準防火地域・新防火地域」の区分。
市街地において火災の危険性を抑えるために設けられ、延焼を防ぎ、避難や消火活動がスムーズに行えるようにすることが目的です。
そのため、駅前や線路・幹線道路に近いエリア、その他住宅密集地などが指定され、建てられる建築物は、“火に強い”仕様にしなくてはいけません。
防火地域
3階以上もしくは延床面積が100㎡以上の場合には、「耐火建築物」としなくてはならず、2階建て以下・延床面積100㎡以下の場合でも、「準耐火建築物」以上の性能がなくてはいけません。
準防火地域
地階を除いて4階以上もしくは延床面積が1,500㎡以上の場合に、「耐火建築物」としなくてはいけません。
地階を除いて3階以下・延床面積が500㎡以下であれば、条件次第で一般的な木造建築物を建てることができます。
新防火地域(新たな防火規制区域)
木造密集地の安全確保と建替え時の耐火性能強化を目的に、「東京都建築安全条例第7条の3」によって指定されたエリアです。
震災時の大規模火災リスクが高い場所が指定されます。
4階以上もしくは延床面積が500㎡以上の場合には、「耐火建築物」としなくてはならず、それ以外の建築物でも「準耐火建築物」以上にしなくてはいけません。
インターネットや役所で閲覧できる都市計画図を見ると、一眼で防火地域・準防火地域・新防火地域の指定を受けているかが分かります。
では、耐火建築物・準耐火建築物とは、具体的にどのような建物を指すのでしょうか?
耐火建築物
耐火建築物とは、壁や床などの主要構造部が、一定の「耐火性能」を持つ建築物を指します。
“一定の耐火性能”は、建築基準法で細かく定められています。
その中で、戸建住宅に関連する部分を抜粋して見てみましょう。
下表に記載された時間、「構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じない」仕様でなくてはいけません。
最上階から数えた階数が2以上4以内の階 | 最上階から数えた階数が5以上で9以内の階 | |
間仕切壁 (耐力壁に該当する部分) |
1時間 | 1.5時間 |
外壁 (耐力壁に該当する部分) |
1時間 | 1.5時間 |
柱 | 1時間 | 1.5時間 |
床 | 1時間 | 1.5時間 |
梁 | 1時間 | 1.5時間 |
屋根 | 30分 | 30分 |
階段 | 30分 | 30分 |
主要構造部に当たる壁(耐力壁)・柱・床・梁・屋根・階段は、国土交通大臣が認定した不燃材料・準不燃材料・難燃材料を使うことで基準をクリアできます。
以前は、RC造(鉄筋コンクリート造)・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)・S造(鉄骨造)が主でしたが、近年は建築材料の発展により、木造でも耐火構造が実現できるようになりました。
準耐火建築物
準耐火建築物は、耐火性能よりも基準の低い「準耐火性能」を持つ建築物を指します。
耐火性能と同様に、下表に記載された時間、「構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じない」仕様である必要があります。
間仕切壁 (耐力壁に該当する部分) |
45分 |
外壁 (耐力壁に該当する部分) |
45分 |
柱 | 45分 |
床 | 45分 |
梁 | 45分 |
屋根 | 30分 |
階段 | 30分 |
耐火建築物と同様に、準耐火建築物も、主要構造部に当たる壁(耐力壁)・柱・床・梁・屋根・階段は、国土交通大臣が認定した不燃材料・準不燃材料・難燃材料を使わなくてはいけません。
防火地域・準防火地域では建蔽率が緩和されるって本当?条件は?
令和元年に建築基準法が一部改正され、準防火地域でも耐火建築物・準耐火建築物を建てる場合には、建蔽率(建ぺい率)の10%緩和が認められることとなりました。
防火関連の規制が見直されるきっかけとなったのが、平成28年に起こった新潟県糸魚川市における市街地火災。
糸魚川市の被災地域は、準防火地域に指定されていたものの、古い建物が多いため、ほとんどが現行の建築基準法で定めた耐火性能を持っていませんでした。
その結果、147棟もの建物が火事によって消滅してしまったのです。
国土交通省のシミュレーションによると、もし被災地の建物が現行の基準に適合していれば、その被害を10/1以下と局所的に抑えられたとの結果も出ています。(参考:国土交通省|「建築基準法の一部を改正する法律案」の概要)
令和元年の建築基準法改正は、建蔽率の緩和を認めることで、延焼のリスクが低い建物への建て替えを促すことが目的です。
【改正前】
防火地域内の耐火建築物は、建蔽率を10%緩和
【改正後】
防火地域内の耐火建築物に加え、準防火地域内の耐火建築物、準耐火建築物も
建蔽率を10%緩和
この改正によって、準防火地域内でも設計自由度が高まることとなりました。
建蔽率は、家の広さを大きく左右し、特に狭小地においては、10%の緩和がかなり影響します。
例えば、建蔽率60%に指定された20坪(66.6㎡)の土地について見てみましょう。
緩和がない状態では「39.96㎡」までにしか建物を建てられませんが、10%緩和されて建蔽率が70%となると「46.62㎡」まで建物が建てられるようになります。
“たった6.66㎡の差”と思う方もいるかもしれませんが、畳に換算すると2枚分にもなり、一般的な浴室程度の広さですので、決して小さな違いではありません。
その他の建蔽率が緩和される条件は?
建蔽率が緩和される条件は、建物の構造だけではありません。
住宅の間取りを検討する際には、その他の緩和条件に適応しているかを確認しましょう。
角地による緩和
建築基準法第53条第3項2号では、「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定する敷地」において、建蔽率が10%緩和されることが明記されています。
地方自治体によって“角地またはこれに準ずる敷地”の規定は多少異なるものの、主な条件は以下の通りです。
- ■ 土地の1/3以上が道路又は公園、広場、川などに面している土地
- ■ 2 つの道路が隅角120°未満で交わる角地
- ■ 幅員がそれぞれ 8 メートル以上の道路の間にある敷地
- ■ 公園等に接する敷地又はその前面道路の反対側に公園等がある敷地
壁面制限による緩和
建築基準法第53条第5項1号では、「特定行政庁が街区における避難上及び消火上必要な機能の確保を図るため必要と認めて前面道路の境界線から後退して壁面線を指定した場合における、当該壁面線を越えない建築物」についても、建蔽率の緩和を認めています。
噛み砕いて解説すると、道路境界線から一定の距離後退させて建物を建てれば、建蔽率が上乗せされるということです。
自治体によって後退距離は異なりますので、必ず設計のプロに詳細を確認してもらいましょう。
建蔽率の制限を受けないケースも
じつは、用途地域や指定されている建蔽率によっては、条件次第で建蔽率の制限がなくなる場合もあります。
主な条件は以下の3点です。
- ■ 第1種・第2種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・準工業地域・商業地域内の建蔽率が80%に指定されているエリアで、防火地域内にある耐火建築物。
- ■ 巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの
- ■ 公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの。
(参考:建築基準法第53条第6項3号)
これらに該当する場合は、建蔽率の制限がなくなり、敷地目一杯まで建物を建てられるのです。
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まとめ|防火地域・準防火地域では建蔽率緩和を利用して快適な住まいに
建物が密集している地域で大規模な火災を防ぐために設けられているのが、防火地域・準防火地域や耐火建築物・準耐火建築物の決まりです。
認定を受けた材料を使うなどの制限はありますが、一方で条件を満たせば建蔽率の緩和が認められます。
都心部をはじめとした狭小地の場合には、たった10%の緩和でも室内の快適性は大きく変わります。
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