〈東京で一戸建てを建てる〉借地権付き土地に家を建てるメリット・デメリット
東京都内、特に23区内に多く存在する「借地権」付きの土地。
なんとなく避ける方も多いですが、意外と知られていないメリットがあります。
ただし、借地権付きの土地に家を建てる際に知っておくべき注意点も忘れてはいけません。
そこで、今回は借地権に関する基礎知識からそこに家を建てるメリット・デメリットを紹介します。
都心部でこれからマイホーム計画を始める方は、ぜひ参考にしてください。
■ メリットだけではなくデメリット・注意点もあるため、必ずそれらを十分理解してから購入を決めましょう。
■ アイホームズは、昭和43年創業以来、都内を中心に数多くの木造耐火建築物・準耐火建築物を手がけてきた実績があります。
目次
借地権とは?旧法と新法の違いは?
土地を探していると「借地権付き」という言葉を見かけるかもしれません。
通常の所有権は土地を購入し、その人の持ち物になるのに対して、借地権はあくまでも土地の所有者は地主です。
そのため、借地権付きの土地に建つ家に住む場合には、契約期間中「地代」を地主に賃料として納めなくてはいけません。
賃料を滞納した場合はもちろん、賃借契約が満了になれば、土地を持ち主へ返還することとなります。
実は、地主と賃借契約を結んだタイミングによって、借地権の取り扱いが異なります。
これが、「旧法借地権」と「新法借地権」です。
では、それぞれ詳しく見てみましょう。
旧法借地権
「旧法借地権」は、1992(平成4)年以前に賃借契約された土地に適応されます。
旧法=「借地法」が適応されるため、現行の「借地借家法」とは扱われ方が少々異なるのです。
借地法においては、建てられた建物の構造種別によって、契約の最小期間が定められており、鉄筋コンクリート造は30年以上、木造は20年以上賃借期間を設けなくてはいけません。
また、契約期間が満了となっても、法律に則って貸主の合意がなくても借主の意思で更新できます。
そのため、借地法が借地借家法へ改正されても、契約時期が1992年以前であれば、更新を重ねる限りは永続的に借り続けることができるのです。
ただし、建物が経年劣化して住めなくなった場合に、借地権は消滅します。
新法借地権
1992年8月1日以降に賃借契約を結んだ場合は、「借地借家法」が適応されます。
借地法との大きな違いは、「普通借地件」と「定期借地権」に分けられるという点です。
【普通借地権】
賃借契約を更新することを前提とした借地権です。
契約の継続期間を設定している場合は30年以上、設定しない場合は30年以内を契約期間とします。
旧法(借地法)とは異なり、更新するごとに契約期間は短くなります。
ただし、こちらも借主が希望する限りは“正当な事由”なしで貸主から契約更新を拒否することはできません。
“正当な事由”は、借地借家法・第六条「借地契約の更新拒絶の要件」で定められており、地代支払い遅延や、無許可での建築・改修、地主側にその土地が必要である具体的かつ必然的な理由がある場合などが該当します。
つまり、あくまでも借主としての義務を果たしていれば、立ち退きを求められるケースはほとんどありませんし、地主から契約更新を拒絶された場合は、相当の立退料が支払われる可能性が高いでしょう。
【定期借地権】
こちらは、定期間のみ契約する、つまり契約更新を前提としない形式で、契約時に設定した契約期間が満了となれば、土地を地主へ返還しなくてはいけません。
返還時に建物を解体撤去して更地にする必要のある「一般定期借地権」と、建物をそのまま貸主へ譲渡売却する「建物譲渡特約付借地権」があり、どちらで設定するかは双方合意の元、契約時に決めます。
どちらの場合も、原則的に契約更新はしないため、借りた時点で土地返還に向けて資金計画を立てておかなくてはいけません。
〈参考ページ〉
定期借家推進協議会|早わかり定期借地権 借地権の基本をわかりやすく解説!
借地権付き土地のメリットは?
土地選びについて色々と調べてみると、「借地権付きの土地は避けるべき」といったネガティブな意見を目にすることも多いでしょう。
しかし、意外と知られていないメリットもあります。
では、それぞれ詳しく解説していきましょう。
その① 所有するよりも低価格で初期費用を抑えられる
多くの方は、マイホームを建てる際に土地を購入して所有権を得ます。
もちろんそれも一つの方法ですが、所有権と比べて借地権の方が安価な点も知っておきましょう。
場所にもよりますが、一般的には所有権付きの土地と比べると20〜30%ほど安いのが一般的です。
つまり、「土地を自分のものにする」というこだわりさえ持たなければ、コスパ良く家が建てられるということ。
都心部など地価が高く人気のエリアにおいては、住宅建設のハードルが下がる点は大きなメリットですよね。
その②土地分の税金がかからない
土地を購入し所有権を得ると、その不動産に対して固定資産税と都市計画税が課せられます。
しかし、借地権の場合はその土地の所有者ではないため、これらを納める必要はありません。
ただし、その土地に建てた家屋には所有権があるため、家屋分の固定資産税と都市計画税は払う必要があります。
その③土地の選択肢が広がる
東京、特に23区内に住みたいとなっても、ご予算によっては思うような土地が見つからないという方も多いです。
それは、条件を「所有権付き」にしているからかもしれません。
借地権付きの土地も視野に入れると、選択肢が増える可能性があります。
なぜなら、地価の高いエリアには借地権付きの土地が多い傾向があるからです。
その④家屋に多くの予算をかけられる
土地の購入費用を抑えられるということは、その分家の構造や内装、設備機器などに予算を多く割けるということです。
三階建て住宅や屋上付き住宅、ガレージ付き住宅、そして高気密高断熱住宅も夢ではありません。
ずっと住み続ける我が家だからこそ、ぜひ間取りや性能にもこだわってみてください。
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借地権土地に住宅を建てる際の注意点・デメリットは?家の相続はどうなる?
借地権は、金銭面でのメリットが大きいですが、軽はずみに契約してしまうと後悔の原因になりかねません。
いくつか事前に知っておくべきデメリットや注意点がありますので、必ずそれらも十分理解しておきましょう。
その①住宅ローンの審査が厳しくなる場合も
住宅ローンは土地や建物を担保として金融機関から融資を受けます。
そのため、どうしても資産価値の低い不動産の場合には、融資可能額が少なくなったり融資可能期間が短くなることは致し方ありません。
そもそも、借地権付き土地の購入ではローン商品が限定される可能性もあります。
借地権付き土地の購入や住宅建設を検討する場合は、早めに複数の金融会社へ相談し、事前審査を受けておくことをおすすめします。
その②土地価格上昇に伴い地代が値上げされる
借地権は所有権と比べると購入価格が安いですが、その後の地代についてもしっかりシミュレーションしておかなくてはいけません。
なぜなら、当初設定された地代から値上がりする可能性は大いにあるからです。
インフレやデフレなどの影響や、周辺の都市計画など、値段が上がる要因は様々あります。
ただし、地主から値上がりを申し出られた場合でも、無条件にそれを飲むことはあまりおすすめできません。
必ずその根拠を聞いてみましょう。
また、賃借契約書を見直して、地代の値上げに関する記載があるか確認してください。
一定期間、値上げをしない旨が明記されている場合もあります。
その③家のリフォームや売却には地主の許可が必要
借地権付きの土地において、所有者はあくまでも地主です。
そのため、借りている土地に建っている建物を勝手に増改築したり売却することは許されません。
必ず計画が始まる前に、地主へ報告・相談してください。
場合によっては、リフォームをする際に承諾費用がかかる可能性もあります。
ただし、設備機器の取り替えや内装工事などは、この場合の増改築には当てはまらないケースもありますので、承諾費用が必要となる工事範囲や、売却の可否などを、契約前に必ず地主へ確認しておきましょう。
その④基本的には中途解約できない
基本的に、借地権の中途解約はできないと思っていた方が間違いありません。
なぜなら、地主は契約満了までの収益を見込んで地代価格を設定しているからです。
当然ながら、地主の方からも中途解約を申し出ることはできません。
こちらの場合は、借主の住むところがなくなってしまうからです。
つまり、貸主・借主の双方を守るための仕組みと言って良いでしょう。
ただし、契約書に「解約権保留特約(中途解約できる権利)」を明記している場合は別です。
また、劣化がひどくこれ以上住めない家を解体する場合や、貸主・借主どちらかが契約違反をした場合は中途解約が成立する可能性もあります。
その⑤土地を返還する場合は更地にしなくてはいけない場合も
基本的に、土地を地主へ帰す際には土地を更地にする、つまり建物を解体しなくてはいけません。
当然ながら、その費用は借主負担です。
ただし、建物がまだ使える状態であるなど資産価値が残っている場合には、地主が買い取る可能性もあります。
その⑥相続した際は地主への報告が必要
借地権付きの土地に家を建てる際に気になるのが、「相続」についてですよね。
結論から言えば、家屋の所有権だけではなく土地の借地権も相続できます。
その際、売却時のように地主の許可を得る必要がありません。
まれに、地主から名義変更料や譲渡承諾料(借地権価格の5〜15%程度)の支払いを求められるケースがない訳ではありませんが、相続の場合はかからないのが一般的です。
報告義務はないものの、地主との円滑な人間関係を考慮すれば、借地権を相続することになった場合には、速やかに地主へ伝えることをおすすめします。
東京にはどのくらい借地権の土地はあるの?
ここで気になるのが、果たして借地権付きの土地はどれほどあるのかという点。
特に人気の高い東京都では、どのぐらいの割合で存在しているのでしょうか?
まず、全国の借地権率を見てみましょう。
少々古いデータではありますが、2008年時点の一戸建てにおける借地権割合は4.3%です。
東京都に限定すると、一般借地と定期借地を合わせて3.5%ほどというデータもあります。
最も借地が多い都道部圏が福井県(7.7%)なので、決して東京都が多いという訳ではありませんが、都心の高価な土地ですと、所有権付きではなく借地権付きである可能性は高まります。
〈参考ページ〉
こんな方に“借地権付き土地”がおすすめ
借地権のメリット・デメリットの両方を知ると、余計土地選びに迷ってしまう方がいるかもしれません。
借地権付きの土地をおすすめするのは、「コスパ良く好立地で住みたい」「ランニングコストを抑えたい」という人です。
権利の購入費用が抑えられますし、固定資産税や都市計画税を納める必要がないからです。
逆に、借地権をおすすめできないのは、「住宅の資産価値を重視する」人。
将来の売却を見据えている方は、やはり所有権を得られる土地を選ぶことをおすすめします。
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まとめ|“借地権付き”の土地を避ける必要はありません
「借地権付き」と聞くと、その購入をためらってしまう方も少なくないでしょう。
しかし、その方の多くはメリットをあまり知らないからかもしれません。
むしろ所有権と比べてコスト面のメリットは多く、好立地な人気のエリアで住める可能性が高まります。
ただし、将来ずっと住み続けるためには、デメリットや注意点に目を向けることも必要です。
大規模リフォームが自分の意思でできない点は特に把握しておきましょう。
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