20坪の土地にはどんな家が建てられる?基礎知識から間取りポイントまで一挙解説
都心部を中心として、狭小地の活用に困っている方も多いでしょう。
また、20坪以下の土地に建っているご自宅が老朽化していて建替えを検討しているものの、どんな間取りが実現するか想像できないという方も少なくないはずです。
そこで、今回は20坪の土地にはどのくらいの大きさの家が建てられるのかについて、東京で長年狭小住宅を手掛けてきた“アイホームズ”が詳しく解説します。
事例から見る間取りのポイントや、価格の目安も紹介しますので、「持て余している土地を活用したい」「今の住まいを高性能住宅に建て替えたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
■ 土地の建築条件を踏まえつつ理想の間取りを実現させたい方は、狭小住宅の施工実績が豊富な会社へ相談することが重要です。
■ アイホームズは昭和43年創業時から、『孫の代まで安心して暮らせる家づくり』を信念として『安全で強い家』にこだわりを持った地域密着⼯務店です。
目次
家づくりを始める際に知っておきたい“建築用語”
20坪の土地にどのくらいの大きさの家が建てられるかなかなかイメージしづらいでしょう。
現状が更地の場合は尚更です。
建てられる家の大きさ目安を知るために押さえておかなくてはいけないのが、いくつかの建築用語。
まずは、建築基準法で定められた用語の概略を知っておくと、どのくらいの家が建てられるか、何階建てにできるのかが分かります。
用途地域
家を建てる際に最も関連する法律が、「建築基準法」と「都市計画法」です。
建築基準法は建物それぞれの安全面・衛生面などを管理する目的があり、都市計画法は限られた土地資源を公平に配分し、健康的で文化的な生活の送れる街づくりを目的としています。
用途地域とは、都市計画法で定められた“ルール”。
異なる土地利用が混ざり合って生活環境を乱すことを避けるため、住宅地・商業地・工業地など地域ごとに建てられる建物を制限して、秩序ある街づくりを行うための決まりです。
用途地域が定められているエリアに建物を建てる場合、用途制限だけではなく、土地に対する建物の床面積比率(容積率)や、道路幅に合わせた建物高さの制限など、いくつかのルールを守らなくてはいけません。
■ 建物の絶対高さ
■ 道路斜線(前面道路に面した建物部分の高さ制限)
■ 隣地斜線(隣地に面した建物部分の高さ制限)
■ 北側斜線(北側道路または北側隣地に面した建物部分の高さ制限)
これらの制限以外にも、自治体の設けた条例があれば、そちらも考慮する必要があります。
住宅が建てられる主な地域は、以下の9つです。
第一種低層住居専用地域
低層住宅(1〜2階建て)の集まる地域で、非住宅部分の床面積が50㎡以下であれば、店舗併用住宅や診療所併用住宅なども建てられます。
第二種低層住居専用地域
こちらも低層住宅のための地域で、非住宅部分の床面積が150㎡以下であれば、店舗併用住宅や診療所併用住宅なども建てられます。
第一種中高層住居専用地域
中高層住宅(3階建て以上)のための地域で、非住宅部分の床面積が500㎡以下であれば、店舗併用住宅や診療所併用住宅なども建てられます。
第二種中高層住居専用地域
こちらも中高層住宅のための地域で、非住宅部分の床面積が1,500㎡以下であれば建築可能なため、大きな建物も混在します。
第一種住居地域
住宅と商業施設が混在する地域で、3,000㎡以下の店舗、事務所、ホテルなどは建てることができます。
第二種住居地域
こちらも、住宅と商業施設が混在する地域で、3,000㎡以上の店舗、事務所、ホテルなどだけではなく、3,000㎡以下であればカラオケボックスやパチンコ店なども建てられます。
準工業地域
軽工業の工場やサービス施設等が建てられるエリアで、危険性や環境悪化の心配がなければほとんどの工場が建てられます。
近隣商業地域
キャバレーなどの施設や危険性のある工場、危険物を保管する倉庫などを除き、ほとんどの建物を建てられます。
商業地域
キャバレーを含む全ての娯楽施設、危険性が大きくない工場も建てられます。
「用途地域」は、家を建てる際にまず確認しなくてはいけないポイントです。
見方は簡単!都市計画図という地図を見ると、用途地域別に色分けされています。(参考:すみだまちづくりマップ)
建蔽率(建ぺい率)・容積率
建蔽率・容積率は、用途地域ごとに数値が決められており、敷地に対して建てられる家の大きさを制限する決まりです。
それぞれ以下のように求められます。
例: 家の建っている面積50㎡ ÷ 敷地面積66㎡(20坪) = 50 ÷ 66 ≒ 75%
例: (1階床面積50㎡ + 2階床面積35㎡) ÷ 敷地面積66㎡(20坪) = 85 ÷ 66 ≒ 128%
それぞれ自治体によって上限が決められていますので、用途地域と併せて事前に確認しておきましょう。
用途地域 | 建蔽率 | 容積率 |
---|---|---|
第一種低層住居専用地域 | 30%~60% | 50%~200% |
第二種低層住居専用地域 | 30%~60% | 50%~200% |
第一種中高層住居専用地域 | 30%~60% | 100%~500% |
第二種中高層住居専用地域 | 30%~60% | 100%~500% |
第一種住居地域 | 50%~80% | 100%~500% |
第二種住居地域 | 50%~80% | 100%~500% |
準工業地域 | 50%~80% | 100%~500% |
近隣商業地域 | 60%~80% | 100%~500% |
商業地域 | 80% | 200%~1300% |
防火地域・準防火地域・新防火地域
防火地域・準防火地域は、都市計画法によって指定されたエリアです。
市街地における火災の危険性を防除するのが目的で、駅前や幹線道路近く、住宅密集地などが指定されます。
密集地では延焼リスクを抑え、消防車などの緊急車両がスムーズに通れなくてはいけません。
そのため、構造の耐火性能などについて規定が設けられています。
防火地域
3階以上もしくは延床面積が100㎡以上の場合には、「耐火建築物」としなくてはならず、2階建て以下・延床面積100㎡以下の場合でも、「準耐火建築物」以上の性能がなくてはいけません。
準防火地域
地階を除いて4階以上もしくは延床面積が1,500㎡以上の場合に、「耐火建築物」としなくてはいけません。
地階を除いて3階以下・延床面積が500㎡以下であれば、条件次第で木造建築物を建てることができます。
新防火地域(新たな防火規制区域)
木造密集地の安全確保と建替え時のの耐火性能強化を目的に、「東京都建築安全条例第7条の3」によって指定されたエリアで、震災時の大規模火災リスクが高い場所が指定されます。
4階以上もしくは延床面積が500㎡以上の場合には、「耐火建築物」としなくてはならず、それ以外の建築物でも「準耐火建築物」以上にしなくてはいけません。
こちらも用途地域と同様に、都市計画図に色分けされています。
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20坪の土地にはどのくらいの家が建てられる?
20坪は66.6㎡で、畳に例えると約40畳、小学校の教室ひとつ分と同程度の広さです。
一見、狭く感じるかもしれませんが、十分快適な住まいは実現させられます。
住宅金融支援機構の公表している「2020年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅・土地付き注文住宅の床面積全国平均は124.4㎡(37.6坪)です。
これは延床面積の平均なので、20坪の土地でも実現できないこともありません。
ただし、先ほども紹介した建蔽率と容積率によるため、やはり建てられる家の大きさを確認したい場合も、用途地域のチェックは欠かせません。
20坪(66.6㎡)の土地に建てられる面積目安は以下の通りです。
用途地域 | 建蔽率=建物面積 | 容積率=延床面積 |
---|---|---|
第一種低層住居専用地域 | 約20㎡〜約40㎡まで | 約33㎡~約133㎡まで |
第二種低層住居専用地域 | 約20㎡〜約40㎡まで | 約33㎡~約133㎡まで |
第一種中高層住居専用地域 | 約20㎡〜約40㎡まで | 約66㎡~約333㎡まで |
第二種中高層住居専用地域 | 約20㎡〜約40㎡まで | 約66㎡~約333㎡まで |
第一種住居地域 | 約33㎡〜約53㎡まで | 約66㎡~約333㎡まで |
第二種住居地域 | 約33㎡〜約53㎡まで | 約66㎡~約333㎡まで |
準工業地域 | 約33㎡〜約53㎡まで | 約66㎡~約333㎡まで |
近隣商業地域 | 約40㎡〜約53㎡まで | 約66㎡~約333㎡まで |
商業地域 | 約53㎡まで | 約133㎡~約333㎡まで |
ちなみに、これらの面積はあくまでも上限であり、下限の指定はありません。
20坪という限られた敷地である程度の生活スペースを確保するとなると、やはり3階建て・4階建てにしなくてはいけないケースも多いでしょう。
その場合は容積率が150%・200%以上ないと間取りが成立しません。
また、容積率が高いほど階層の多い住宅を建てられますが、高さ制限や斜線規制、その他条例によって実現できない場合もあります。
そのため、生活スペースに必要な面積を確保するためには、広さ以外の条件についてもじっくり確認しなくてはいけません。
ご要望を叶える土地探しを建築的知見でお手伝いできますし、「土地」と「住宅」併せて資金計画を立てられて決済は当社窓口で全て解決することもできます。
※お申込みいただける方は、城東地域(墨田区、台東区、葛飾区、荒川区、江東区、足立区、江戸川区)にお住まいをご検討中の方に限らせていただきます。
〈20坪以下の土地に建てた家〉実例から見る間取りポイント・価格目安
私たち“アイホームズ”は、城東地域(墨田区、台東区、葛飾区、荒川区、江東区、足立区、江戸川区付近)で、数多くの住宅を手掛けてきました。
その中には、「狭小敷地」「変形敷地」なども少なくありません。
そこで、20坪以下の敷地に建てた住宅事例を、間取り図と併せて紹介します。
〈土地面積10.09坪〉屋上付きでアウトドア時間を楽しめる家
こちらは、土地面積10.09坪に建てた2階建て+屋上の住宅です。
前面道路が近いため、玄関は建物の脇に配置し、プライバシー性を確保しました。
廊下を極力無くしたミニマルな間取りにすることが、狭小住宅一番のポイント。
玄関ホールと階段室を中心に、水回りや各洋室、LDKに直接アクセスできます。
こちらの住宅最大の特徴は、屋上です。
敷地が狭くお庭を取れない住宅にこそ、屋上をおすすめします。
ベランダが作れない狭小地においては、貴重な洗濯物干し場ですし、アウトドアリビングとして外の空気や日差しを感じながらくつろげる場所としても活用できます。
日当たり次第ではプランターを置いて、家庭菜園を楽しむのも良いでしょう。
屋上を作り後悔する人の中には、上がるのが面倒という方も多いですが、リビングから直接階段で上がれれば、「夕涼みしながらビールを飲む」という貴重な時間も気軽に楽しめます。
〈土地面積11.73坪〉駐車スペースもある3階建ての家
正方形に近い土地形状を生かして、1階に水回りと駐車スペースを設けた事例です。
敷地面積が限られているものの、玄関脇には靴のまま入れるシューズインクローゼットを配置し、急な来客でも慌てない工夫を凝らしています。
2階に上がると、効率的で使いやすいトイレ・LDKが広がります。
東西南北に窓があるため、開け放てば気持ち良い風が吹き抜けます。
3階はバルコニー分床面積を狭くして、洗濯物を外で干す仕様に。
洋室と直結しているので、洋服をしまう手間も軽減できます。
「都心部の狭小地では、駐車場は作れない」そんな風に諦めていませんか?
土地の形状によっては、間取りの工夫次第で“快適な生活”と“車のある暮らし”は両立できます。
〈土地面積15.82坪〉20坪以下でも3LDKを実現させた家
こちらは、間口が狭く奥に広い狭小かつ変形な土地に建てた事例です。
土地面積は15.82坪あるものの、間口はたった4mほど。
しかし、この形状を生かしてゆったりとした玄関ホールを設け、階段を中央部に配置することで、洋室の3つある3LDKを実現しました。
それぞれの洋室にはクローゼットを完備、さらに2階洋室の天井裏を活用し、小屋裏収納を設けています。
玄関前には2台分の自転車置き場もあるので、都心で車のない生活を送る上でも快適です。
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「20坪の土地」と言っても、用途地域によって建物の建てられる面積は異なりますし、高さ制限などがある場合もあります。
そのため、「このぐらいの部屋数が欲しい」とお考えの場合には、広さだけではなく諸条件についても十分確認して土地探しをしなくてはいけません。
また、駐車場や駐輪場、バルコニーや屋上など、理想の住まいに必要な空間についても、イメージを膨らませることが重要です。
「狭いから」と諦めず、まずは私たちにあなたの“理想の住まい”を教えてください。
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