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収納部屋という地震対策

2020年03月10日

■タンスが倒れないスペース

皆さんこんにちは、中原です。

これから建てる家であれば、

大きなウォークインクローゼットを設計して衣類を収納し、

子ども部屋等すべての部屋に家具を造り付けることも

考えられます。

 

しかし、収納する物の数は家族によって違い、

物が少なければ空間がもったいない設計となり、

多ければやがてタンスを足すことになりかねません。

追加されたタンスが、

地震時に危険な状態になるであろうことも、

すぐに想像できることです。

 

また、今住んでいる家の地震対策を考えたときには、

大規模なリフォームでもしない限りは、

造り付けの家具にすることもできません。

どうにか地震対策を考えた、

上手なタンスの扱い方はないものでしょうか。

 

こんな時に、

先の耐震突っ張り棒の倒れ方を思い出していただくと、

ヒントが見つかります。

壁際のタンスが倒れるのは、

タンスの手前下端が中心点として円運動となります。

 

もしタンスの手前にあるスペースが、

タンスの高さ寸法よりも小さければ、

タンスは倒れてきても向かい側にぶつかってしまい、

床まで倒れることはありません。

 

じつはタンスは狭いところに置くというのが、

地震対策の家具の配置法ということになります。

 

では、日常的にタンスを使うのには、

どれくらいのスペースが必要なのでしょうか?

 

多くのタンスの奥行きは60センチ前後です。

引き出しであれば、30~40センチ等、引き出して使います。

 

使用する人の体格にもよりますが、

タンスの前には70センチ等空いていれば、十分に使えます。

低いところの引き出しは、かがまないと使えないので、

あと10センチほど余裕を持たせます。

 

いずれにしても、

タンスの前が1メートルも空いていないので、

高さが2メートル近くあるタンスが倒れてくるはずもありません。

収納部屋、つまり納戸を考えておくことは、

地震対策にもなるということです。

 

 

■収納部屋の大きさ

一般的な家では、昔からの尺寸法が使われています。

1枚の畳の大きさが、長辺が1間、短辺が半間の内法寸法です。

 

時代や地域によっても寸法は違いますが、

おおよそ長辺が1メートル70センチ、

短辺が85センチほどです。

収納は広いほど良いわけでもなく、

タンスが倒れにくい納戸として使うのであれば、

やはり1間幅の空間が理想的です。

 

せっかくの収納スペースですから、

収納家具を向かい合わせに置けば、

どちらも倒れにくくなります。

片方を奥行き45センチの収納家具にすれば、

ちょうど1間幅を使いこなせます。

 

物がたくさんあるからといって、

大きな収納を考えるのではなく、

決して広くない収納部屋の方が、

地震のことを考えたら適しているということになります。

 

同じように、収納部屋には高さも必要ありません。

天井が高くなれば、

タンスの上等にも物を空きたくなるものです。

タンスが倒れなくても、物が落ちれば、

収納部屋は手がつけられなくなってしまいます。

 

また、倒れてこないからといって、

安全な部屋になるわけでもありません。

収納家具の中から飛び出してくるものもあります。

収納部屋にいる時に、地震に遭遇したら、とにかく逃げ出すことです。

 

こうした集中収納が家の中にあることの良さは、

その部屋だけの地震対策ではなく、

通常使用している居室の物が減らせるという点でも、

地震対策となります。

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