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震度とマグネチュードとガル

2019年10月28日

■地震のエネルギー

こんにちは、中原です。

日本のどこかで地震が起きると、

テレビではすぐに地震速報が流れます。

 

真っ先に各地の震度が伝えられ、

しばらくして、地震波の分析から震源地と深さ、

地震規模であるマグネチュードが発表されます。

こうした発表は、技術の進歩とともに

早くなり、精度も増してきました。

 

震度というのは、昔は体感で決められていましたが、

現在では計測震度として地震波形等から計算されます。

マグネチュードというのは、

地震のエネルギーの規模を表すものです。

大きいほど地盤が激しく動いたことを表します。

 

東日本大震災のマグネチュードは、

先のアメリカ地質調査所のデータによると

世界の地震の歴史の中では4番目の規模になります。

そのうち2回は、21世紀になって10数年の間に起きた地震です。

 

でも、たとえ大きなエネルギーで地面が動かされても、

遠く離れていれば震度は小さくなります。

エネルギーの伝達は、距離が離れるほど、

途中で減衰するので、これも当然の話です。

 

ですから、確かにマグネチュードで地震の大きさを

比較することはできますが、住宅に対する影響を

マグネチュードで考えることはできません。

一般的な震度では、建物に対する力の強さが曖昧なので、

加速度の単位としてのガルがよく使われます。

 

 

■加速度で計算

地震の計測に関しては、日本では関東大震災で初めて、

大地震の地震波が残されました。

この時の地盤面の水平加速度は400ガル弱とされています。

日本では長い間、この地盤面加速度を基準として、

建物の強度が考えられてきました。

 

加速度と言われても、なかなかイメージしにくいのですが、

最も身近な加速度は、重力加速度、つまり引力です。

重力加速度Gは、約980ガルです。

 

例えば建物を、模型のように持ち上げて真横にしたとすれば、

建物に横からかかる力は重力加速度と同じIGです。

地震というのは、ほんとうは地面が揺れているのですが、

慣性の法則があるので建物が横に揺れていると見立てます。

 

その時に1G=980ガルであれば、

真横にして建物の重さと同じ力で、

横から引っ張られている強さということになります。

 

ですから関東大震災の、400ガルというのは、

建物の重さの半分以下の力で引っ張られているということです。

ただこの加速度の数値は、震源地からの距離によっても違います。

関東大震災では、震源地から相応に離れた場所での

計測であったと考えられます。

 

阪神淡路大震災で計画された加速度は818ガルです。

さらに、新潟中越地震では1000ガルを超えました。

そして東日本大震災では2000ガル以上とされています。

 

地震計が増えたからこそ、震源地の真上で測ることが

できるようにもなり、関東大震災の基準では

力の強さが足りないこともわかってきました。

だからこそ、日本では耐震基準が何度か変更されてきました。

 

大きな変更は、1981年と2000年の基準です。

昭和の耐震基準の変更は、考え方も含めて大きな変更であり、

その前、つまり1981年以前の建物は、

基本的に耐震性が考慮されていないと考えます。

 

ですから築38年以上の建物は、

地震で壊れても当然ということになります。

そして、築19年以上の建物は、

地震対策がまだ不十分であると考えられます。

 

難しい言葉で表現すると「既存不適格」といい、

現行法上では不適格な住宅とされます。

 

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