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家の性能は長く住むことを前提に考える

2019年05月30日

皆さんこんにちは。五十嵐です。

 

2009年度に執行された

『長期優良住宅の普及促進に関する法律』は、

これまでの日本の住宅政策の基本となっていた

フロー重視の家から完全な離脱でした。

その目的とされたのは、欧米と同様に長期的に活用でき、

資産としても価値を維持できるストック重視の家です。

 

ただし最初に申し上げると「長期優良」とは銘打っても、

国の定めた現在の「長期優良住宅」の基準は

世界標準と比べた場合「最低基準」レベル。

資産価値の高い家を考えるなら

その基準を満たしたところがスタートと考えてもいいほどです。

 

多角的にみて長く住める「長期優良住宅」の基準

 

今後建築される住宅がこの法律に規定された「長期優良住宅」に

設定されれば、減税などのさまざまな優遇借地が利用できます(2012年2月現在)。

 

9つある性能項目ごとの認定基準を満たす

建築計画と維持保全計画を策定し、

これを地方公共団体などの所管行政庁に提出するのですが、

申請には各性能に関する専門的な知識が不可欠ですから、

家を建ててくれる住宅メーカーや工務店と打ち合わせをしながら

進めることになるでしょう。

 

この長期優良住宅の9つの性能項目は、

①劣化対策、②耐震性、③維持管理・更新の容易性、

④可変性、⑤バリアフリー性、⑥省エネルギー性、

⑦居住環境、⑧住戸面積、⑨維持保全計画

として規定されています。

このうち④可変性と⑤バリアフリー性は、マンションなどの

共同住宅についての内容ですから、

一般の住宅に関する基準は7つです。

 

それぞれ基準が設けられていますが、

たとえば「耐震性」であれば「極めて稀(数百年に一度)に発生する地震に対し、

維持利用のための改修を容易化する目的で、

損傷レベルの低減を図る」が認定基準。

ただし「長期優良住宅」そのものが資産価値のある住宅を

考えるときのスタートラインに過ぎませんから、

当然、その基準も万全のものとはいえません。

 

では、資産価値の高い住宅のためには、

それぞれの性能項目をどのように考えればよいのでしょうか?

 

メンテナンスも重要な条件

 

①劣化対策では、実際の部材・材料に耐久性のあるものを利用すること。

さらには木造家屋の大敵である”結露”対策がなければなりません。

 

②耐震性の耐震等級は建築基準法の

1.5倍の強さを求める3にすべきです。

 

③維持管理・更新の容易性と⑨維持保全計画については、

当初の計画だけでは意味がありません。

実際の性能は建った家で暮らしていく中で

メンテナンスを行う時点で明らかに違いますし、

保全に関しての計画が実践されていることが必要です。

 

⑥の省エネルギー性は、今後、さらに注目度が高まることが確実な性能項目です。

そのためには、断熱性と気密性という

2つの条件を高めることが必項。

 

ところが、国の定めた基準は決して十分なものではありませんので、

むしろ世界の環境先進国で採用されている基準を参考にすべきです。

また、断熱工法などについても、より具体的な

「基礎断熱」「ホール断熱」などを指針とすべきです。

 

⑦住居環境のポイントは、

街並みの外見的な美しさだけではありません。

交通、教育、育児などといった”人が住まう街”

全体のロケーション価値に配慮しなければ意味がありません。

 

⑧住戸面積の基準は現在の日本人の生活スタイルからいえば、

現状が適当なものといえます。

 

むしろ、注意したいのは、共同住宅に適用されるという

④可変性と⑤バリアフリー性を

一般住宅にも適用すべきだ、という点です。

建築家などのプロのプランニングが大きな効果をみせる部分ですが、

そんなプラスaの部分が家の資産価値アップに

貢献することは間違いありません。

 

さらに基準項目に採用されなかった部分で

忘れてはならないものに地盤があります。

住宅本体の耐久性を高めても、たとえば、いざというときに

それを支える地盤が液状化しては元も子もないからです。

 

 

POINT

■「長期優良住宅」は資産価値の高い住宅を建てるための最低スタート条件

■性能項目に掲げられた内容より、さらに厳しい条件を目標に置く

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