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「お子さんがいないご夫婦の急な相続にひそむ大きなリスク」

2016年03月01日

以前、ご依頼を受けた相続案件・・・

ご夫婦だけでお子さんがいらっしゃらない。

ご主人が急逝された。

ご主人の父母は既に亡くなっているので相続人は奥さんだけ・・・

と思い込んでおられたが実はご主人のご兄弟に相続分があった。

民法では3/4が配偶者、1/4が兄弟の持分となる。

 

財産はマンション1室がほとんどを占める・・・

「全財産を妻に」という内容の遺言書があればよかったが、遺言書は作られていなかった。

 

こういう状態はとてもやっかい。

そのままではマンションの名義を奥様一人にできない。

マンションの1/4はご兄弟のものということになってしまう。

 

遺産分割協議という財産分けの話合いが必要になる。

遺産分割協議書という書面に相続人全員の実印を押してもらう必要が出てくる。

 

このときに奥様とご兄弟との仲が悪かったり、疎遠だったりすると、

すんなりと協力をしてもらうことができない。

 

考えてみてほしい。

ご夫婦二人で何千万円ものローンを返済してきたのに、

相続で急に兄弟に1/4の権利が行ってしまうのだ。

 

具体的な金額の例示をしてみよう。

4000万円のマンションのローンを返済し終わって一安心。

ところがご主人が急逝。

1/4の1000万円分の権利が兄弟に!

(※実際はこんなに単純ではないがわかりやすくするために単純化しています)

 

エッ! という話だ。

何かの際に相続や遺言書の知識を聞いていたら別だが、

普通の方はこんなリスクなんて知らないことが多いだろう。

知っていても「まさかそんなに若く死ぬはずがない」と思って、「まだ何もしない」ことが多いはずだ。

 

だが、「急死」は一定の確率で誰にでも起こりうる。

そしていざそれが起こってしまったときに、残されたパートナーは大変な思いをすることになる。

・嫌がらせでハンコを押してもらえない。

・ハンコを押すかわりに相続分を買い取ってくれと言われ数百万円から数千万円を請求される。

・他の相続人が行方不明ということもあり得る。

・行方はわかっても連絡が取れない、電話に出てもらえない、郵便にも反応してくれない・・・

こんなことは十分に考えられる。

その間名義変更はできない。

売って処分したくてもできない。

 

結局他の相続人さんに要求されて、数百万円の持分に相当する金額を支払うことで解決した。

老後のための資金計画にだいぶ影響が出たようだった。

 

しかし、逆に言えばお金で解決できた分だけ良かったのかもしれない。

未解決のまま「塩漬け」になってしまう可能性だってあったのだから。

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