【台風に強い家】構造の種類と新築時の対策・工夫を徹底解説
「台風の被害からマイホームを守りたい」「安心してずっと住み続けられる家を建てたい」という方のために、“台風に強い家”にするための対策・工夫ポイントを11個紹介します。
東京23区で高耐震・高耐久な木造住宅・鉄骨住宅を手掛けるアイホームズが、おすすめの構造種別や土地選び・構造・外装・間取りについてお話ししますので、これから注文住宅を建てたい方はぜひ最後までご覧ください。
■ 日本に接近・上陸する台風は強大化し、短時間で多量の雨が降る傾向が強まることが予想されています。
■ 台風に強い家を建てる場合は、土地選び・構造計画・外装・間取りなど多方面での対策や工夫が必要です。
■ アイホームズは昭和43年創業以来、これまで東京23区を中心に「高気密高断熱・高耐震」な鉄骨造・木造住宅を数多く設計施工しています。
目次
台風被害の種類
日本では、年間で平均12個もの台風が接近し、平均3個ほどが上陸します。
特に地球温暖化の影響で短時間豪雨の発生頻度が増加しており、気象庁の資料によると日本付近における台風強度は強大化すると懸念されています。(参考:気象庁|日本の気候変動2020 ―大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書―)
そのため、長く住み続けるマイホームについても台風への備えが欠かせません。
ではまず台風被害の種類を見てみましょう。
被害の種類 | 住宅への影響例 |
---|---|
風害 | 風圧や飛散物による窓・外壁の破損 屋根材の飛散・破損(強風の巻上げ力) 住宅の全壊・半壊(強風の引抜き力) |
水害 | 短時間豪雨による床下・床上浸水 |
地滑り・土砂崩れ | 地盤沈下による住宅の傾き 鉄砲水によるライフラインの断絶 土石流による被害 |
高潮害・波浪害 | 住宅の破損 床下・床上浸水 住宅の塩害 |
ライフラインの断絶 | 停電 断水 埋設ガス管の破損 食料・飲料水不足(買い物に行けない) |
台風被害と聞くと沖縄や沿岸沿いなど一部のエリアに限定しているように思われていましたが、近年は東京23区などこれまで大きな被害が出ていなかった地域でも道路浸水など日常生活に支障をきたす被害が報告されています。
また、全国で屋根瓦が飛散する可能性のある風速20m以上の風も確認されています。
そのため、想定される被害に対して新築時から備えておきましょう。
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台風に強い家の構造種別|木造・鉄筋コンクリート造
「台風に強い家」について調べると、鉄筋コンクリート造(RC造)が良いという情報を見かけるかもしれません。
確かに、日本でも台風の被害を受けやすい沖縄では、既存住宅の約70%が鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)です。
なぜなら、コンクリートは耐風性が高く変形に強いため、強風の影響を受けにくいとされているからです。
しかし、実は最近沖縄でも木造住宅が増えており、県内において木造住宅は2006年に総新築着工戸数の約1.9%だったのに対して、2021年には約19%まで増加しています。(参考:沖縄県|住宅建設の動向)
木造住宅における制振技術が進歩し、さらに高耐震化に伴う耐風性が高まり、耐水性の高い外装材も普及しています。
また、2000年の建築基準法改正により木造住宅の構造部における接合金物設置が義務化され、耐風圧力に対する明確な規定が盛り込まれたことで、強風にも耐えられる木造住宅が増えました。(建築基準法施行令第87条)
これまで構造の特性上、鉄筋コンクリート造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の方が台風に強いとされてきましたが、施工技術が向上したことで木造を選ぶ方が増えているのです。
また、コスト面でも鉄筋コンクリート造と木造を比べると大きな違いがあります。
構造種別 | 全国平均 施工単価(㎡・坪) | 東京都平均 施工単価(㎡・坪) |
---|---|---|
木造住宅 | 22.6万円/㎡ 74.6万円/坪 | 24.6万円/㎡ 81.2万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 37.5万円/㎡ 123.8万円/坪 (木造比166%) | 62.3万円/㎡ 205.6万円/坪 (木造比253%) |
台風に強くご予算内でこだわりのマイホームを建てたい方には「木造住宅」がおすすめです。
鉄筋コンクリート造よりもコストを抑えて理想の住まいを手に入れられます。
ただし、台風や地震に強い構造にこだわることが重要です。
台風に強い家の特徴
では、実際に「台風に強い家」にするために押さえておきたい対策ポイントを紹介します。
これからマイホームを新築する方は、ぜひ以下の要素をマイホーム計画に取り入れてください。
浸水被害を受けにくいエリアを選ぶ
2024年8月に発生した台風10号では、東京の中心に位置する市谷駅が浸水する被害が発生しました。
想定以上に短時間で多量の雨が降ったことや度重なる造成工事で水の流れが変わってきたことが原因とされています。
このことから、東京23区で住宅用の土地を探す際は、これまでの浸水被害履歴やハザードマップでどのようなエリアに該当しているかを必ず確認しましょう。(参考:国土交通省|わがまちハザードマップ)
土地の近くに暗渠※がないかもチェックポイントです。
※暗渠(あんきょ):地下に埋められており水の流れが見えない川や水路
軟弱地盤を避ける・適切な地盤改良をする
豪雨による地盤災害は、主に「急傾斜地の崩壊」「地滑り」「土石流」が挙げられますが、それ以外にも軟弱地盤(砂質地盤など)における「液状化現象」も心配です。
液状化とは地下水位が高い地盤で起こり、地震や大雨により砂粒の周りにある地下水が振動とともに地表に上がって、地盤沈下を引き起こす現象です。
場合によっては、地表の弱い部分から地上に吹き出る鉄砲水が発生する可能性もあります。
そのため、土地を探す際は事前に自治体の液状化マップを確認しましょう。(参考:東京都建設局|東京の液状化予測図)
液状化のリスクがあるエリアでも、事前に地盤改良すれば沈下のリスクを抑えられます。
そのため、家を建てたいエリアの土地特性に詳しい建築会社へ相談しましょう。
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強風に耐えられる構造にする
住宅は、風速35〜40m/sを超えると倒壊・破損のリスクが高まります。
過去には最大風速70m/sを超える台風が発生しているため、住まいは風力を受け流せる構造にしましょう。(参考:気象庁|はれるんライブラリー)
ポイントは、耐震性を高めるだけではなく制振構造も採用する点です。
地震にも抵抗できる構造にするために、免震技術も組み合わせる住宅も増えています。
- 耐震:外力(地震・強風)に対して建物の強度を増すことで抵抗する
- 制震:外力(地震・強風)を受け流す構造により建物の揺れを制御する
- 免震:外力(地震・強風)をそもそも建物に伝えないようにする
耐水性の高い屋根・外壁材を選ぶ
短期間で多量の雨が降るケースが増えているため、水捌けがよく雨水が室内に侵入しにくい屋根材や外壁材を選びましょう。
おすすめは、ガルバニウム製屋根材やサイディング材です。
表面の塗膜は高耐久の焼き付け塗装なので、サビにくく防水・耐水性に優れています。
また軽量なので、建物への負荷が少なく耐震性に影響しない点も重要なポイントです。
割れにくいガラスにする
東京など住宅が密集しているエリアでは木の枝などが飛んできて窓ガラスを突き破るリスクは低いですが、大きな窓ガラスは看板や電線などの飛散物対策をしておくと安心です。
おすすめは防災安全合わせガラスで、ガラスとガラスの間に貫通防止の樹脂中間膜を挟み込んだ仕様になっています。
断熱性の高いペアガラスやLow-E複層ガラスとも組み合わせられるため、開けた場所の窓や前面道路に面した窓へ採用を検討しましょう。
雨水が入りにくいサッシにする
戸建て住宅用には水密等級※がW-2〜4の窓サッシを採用するのが通常ですが、吹きさらしになる可能性が高い窓にはできるだけ水密性の高い製品を選びましょう。
※水密等級:風に伴う雨水の防水性を表し、等級(数字)が大きいほど浸水リスクが低い。JIS A 4706・4702によりW-1〜5と5段階に分類されている。
水密等級以外にも気密等級(A-1〜4)や耐風圧性(S-1〜7)も合わせて確認しておくと安心です。
窓シャッターをつける
窓ガラスが割れるのも防ぐために、窓シャッターをつけるのもおすすめです。
雨戸よりもスムーズに開閉でき、防犯性アップにも繋がります。
風の影響を受けやすい場所には、耐風圧シャッターを選びましょう。
太陽光発電システム・蓄電池を設置する
大きな台風が接近すると、停電になるリスクは避けられません。
ところが、強風豪雨では避難所に移動するのもままならず、自宅避難を余儀なくされるケースも多いでしょう。
その際に出来るだけ日常生活に近い状態を保つために、太陽光発電システムや家庭用蓄電池の導入も検討しましょう。
ただし、周囲に背の高い建物があったり狭小住宅で屋根面積が狭かったりすると、十分な発電量を得られず導入コストを回収するまでに年数がかかるため、設置したい方は建築会社と相談しましょう。
備蓄スペースを確保する
災害時には買い物へ行けず、行けても買いだめなどで思うように食料品や日用品が手に入らない可能性が想定できます。
そのため、最低でも3日分、できれば1週間以上の飲料水や食料品、日用品を備蓄できるスペースを確保しましょう。(参考:内閣府|防災情報のページ|1週間を想定した工夫と備え)
「それほど収納場所を作れない」という方は、政府が推奨しているローリングストック法※を取り入れ、日常的に使えるパントリーなどの収納スペースと備蓄スペースを兼用する間取りがおすすめです。
※ローリングストック法:日常生活で非常食や保存食を食卓へ取り入れて、消費と買い足しを繰り返す方法
主な生活スペースを2階以上に配置する
台風に伴う大雨が増えている傾向を踏まえると、郊外に限らず都心部でも浸水被害を想定しておきましょう。
床上床下浸水の原因は河川氾濫(外水氾濫)に限らず、用水路や下水溝が容量オーバーになり機能不全を引き起こす内水氾濫の場合もあります。
床上床下浸水の場合でも日常生活が送れるように、主な生活スペースを2階以上に配置しておきましょう。
台風被害もカバーできる火災保険に加入する
万が一台風の被害を受けた場合に備えて、住宅火災保険の内容もチェックしましょう。
火災や地震だけではなく、風災・水災・落雷の被害も補償されるプランがおすすめです。
補償対象を建物だけにするのか家財品も含むのかによって保険料が異なりますので、ご予算に応じてプランを検討してください。
まとめ
台風に強い家を建てたい方は、住宅の構造・外装・間取りについてポイントを押さえて計画を進めましょう。
また、構造設計を得意とし信頼性が高く実績豊富な建築会社がおすすめです。
アイホームズは昭和43年創業以来、東京23区内で高気密高断熱+高耐震な鉄骨造・木造の家をリーズナブルな価格で数多く手がけてきました。
ずっと安心して住み続けられる家を建てたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社 アイホームズ
FAX:03-3613-6149
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