「重量鉄骨の戸建はやめとけ」の真実|メリット・デメリット、木造・RC造との違いを解説
マイホームの新築を検討している方の中に「鉄骨造と木造で迷っている」「重量鉄骨造の戸建が気になっているが、後悔しないか心配」という方は少なくないはずです。
そこで、今回は東京23区で重量鉄骨造と木造両方の住宅建設を手掛けるアイホームズが、重量鉄骨造のメリット・デメリットについて、軽量鉄骨造・木造・鉄筋コンクリート造(RC)との違いを交えながら詳しく解説します。
住まいの構造や建築会社をこれから選ぶ方は、ぜひ最後までご覧ください。
■ 重量鉄骨造の戸建住宅には、軽量鉄骨造や木造、RC(鉄筋コンクリート)造と比べて優れている点がいくつもある反面、事前に知っておいた方が良いデメリットもあります。
■ 重量鉄骨造にするか迷っている方には、木造も重量鉄骨造も手掛ける建築会社がおすすめです。
■ アイホームズは昭和43年創業以来、これまで東京23区を中心に「高気密高断熱・高耐震」な木造・重要鉄骨造住宅を数多く設計施工しています。
重量鉄骨造とは
重量鉄骨造とは、鉄骨造(S造)の一種です。
S造に用いられる鉄骨は、鋼材の厚さによって重量鉄骨と軽量鉄骨に分類されます。
鉄骨の鋼材厚さが6mm以上のものを「重量鉄骨」、6mm未満のものを「軽量鉄骨」と呼び、建物の規模や間取り、予算によって使い分けられるのが一般的です。
鋼材が分厚いほど構造体としての強度は高まるため、階数が多いほど重量鉄骨造の方が適しています。
最近は、荷重負荷が少ない上階を木造にして、下階を重量鉄骨造にする立面混構造を採用するケースも少なくありません。(参考:国土交通省|第3章 建築構造の設計)
重量鉄骨造のメリット
新設住宅全体における重量鉄骨造の割合は増加傾向にあります。
その理由は、木造や軽量鉄骨造、RC造と比べていくつものメリットがあるからです。
耐震性・耐風性が高い
鉄骨は木材と比べて粘り強く曲がりにくい特性があるため、木造住宅よりも倒壊リスクが低いとされています。
材料の粘り強さや変形のしにくさを示すヤング係数を比較すると以下の通りです。
材料 | ヤング係数の値 |
---|---|
鋼材 | 205,000 n/mm² |
木材 | 7,000~12,000 n/mm² |
また、梁と柱などの構造体同士の接合部が溶接されることも高い耐震性をもたらします。
そのため、消防署など災害時に重要な役割を持つ建物にも重量鉄骨造が多く採用されています。
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木造より法定耐用年数が長い
鉄骨造は、最も普及している木造住宅よりも耐用年数(※)が10年以上長いため、店舗併用住宅や賃貸併用住宅にする場合に減価償却できる期間が長くなります。
※耐用年数:法定耐用年数とも呼ばれ、建物や機械設備などの減価償却資産において通常の維持補修を加える場合に通常の使用方法において効果を得られる年数(使用できる年数)のこと(参考:東京都主税局|償却資産の評価に用いる耐用年数)
法律で決められている構造別耐用年数は以下の通りです。
構造種別 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造住宅 | 22年 |
鉄骨造住宅(鋼材厚さが4mmを超えるもの) | 34年 |
鉄骨造住宅(鋼材厚さが3mmを超え4mm以下のもの) | 27年 |
鉄骨造住宅(鋼材厚さが3mm以下のもの) | 19年 |
鉄筋コンクリート造住宅(RC造) 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 47年 |
つまり、鋼材厚さが6mmを超える重量鉄骨造住宅の耐用年数は木造住宅よりも12年長く、その分減価償却できる年数が長くなり、事業利用する場合に有利になるということです。
ただし、ここでポイントとなるのは「耐用年数=寿命ではない」という点です。
新築後のメンテナンス状況にもよりますが、重量鉄骨造建物の寿命は50〜60年程度、構造体だけであれば100年以上の長寿命も期待できます。
1884年に鉄骨造で建てられたフランス・エッフェル塔が140年経った今も現存していることからも、その耐久性は明らかと言えるでしょう。
間取りの自由度が高い・狭小地でも空間を無駄なく活用できる
鉄骨造の大きな魅力は「間取りの自由度」です。
重量鉄骨造で採用される「ラーメン構造」は、柱と柱の間を太い梁で繋いでフレームで荷重や外力に抵抗します。
そのため、木造のように耐力壁や多数の柱がなくても、地震力や風圧に抵抗できて大きな空間をつくれます。
1階を広い店舗やオフィス、ガレージにする場合にも重量鉄骨造はおすすめです。
品質・強度が一定
重量鉄骨造に用いられる鉄骨は工場で作られ、現場ではそれを図面通りに組み立てます。
そのため、施工者の技量に左右されず、品質にムラがなく設計で想定した強度を実現できるのです。
木造住宅(在来軸組工法)の構造体も工場でプレカットされる材料が90%を超えていますが、木材は保管状況や含水率(※)によって変形を起こしたり強度が左右される可能性があるため、施工者の知識と経験が鉄骨造よりも影響します。(参考:林野庁|第1部 第3章 第3節 木材産業の動向(2))
※含水率:木材に含まれる水分の割合で、適切な割合でないと十分な強度を発現しない
木造住宅よりも火災保険料が安い
火災保険料の額は、構造級別によって変わります。
構造級別 | 該当する構造例 |
---|---|
M構造 | 鉄筋コンクリート造 鉄骨コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 コンクリートブロック造建物 れんが造建物 石造建物 耐火建築物(耐火構造建築物) 主要構造部が耐火構造の建物 |
T構造 | 鉄筋コンクリート造(※) 鉄骨コンクリート造(※) 鉄骨鉄筋コンクリート造(※) 鉄骨造(※) 耐火建築物(※) 耐火構造建築物(※) 準耐火建築物(※) |
H構造 | M構造・T構造以外の建築物 木造住宅など |
保険料はM構造▶︎T構造▶︎H構造の順で高くなるため、鉄骨造は木造住宅よりも火災保険料は安くなります。
プランによりますが、H構造と比べてT構造の保険料が半額近くなるケースも珍しくありません。
木造・軽量鉄骨造よりも遮音性が高い
重量鉄骨造は木造や軽量鉄骨造と比べて柱が太くなりその分壁が厚くなるため、外部や部屋間での音漏れを軽減できます。
また、床も分厚いコンクリートで構成されており木造のような床下空間がないため、上下階の足音でトラブルになることもほとんどないでしょう。
インターネットなどで調べると「鉄骨造はうるさい」という情報を見かけますが、これは軽量鉄骨造の賃貸物件を指す場合がほとんどです。
ただし、外部からの騒音は窓の遮音性によって左右されるため、車の音や人の話し声が気になる方は、遮音サッシの導入を検討してください。
最も遮音性の高い構造種別はコンクリートを用いるRC造です。
RC造よりも工期が短い
鉄骨造はその材料の多くを工場で製造・加工しており、コンクリートのように施工後の乾燥期間は必要ありません。
また、プランや建物規模にもよりますが、細かな加工が多い木造住宅よりも早く完成する可能性もあります。
そのため、一刻でも早く入居したい場合や収益化したい場合には、鉄骨造を検討してみましょう。
木造よりもリフォームで大きな間取り変更をしやすい
木造在来軸組工法の場合は耐力壁や主要な柱を移動できないなどの制限があります。
木造壁式工法(ツーバイフォー)は、間仕切壁のほとんどが構造体としての役割を持つため、間取りを変えられない住宅がほとんどです。
一方、重量鉄骨造はこれらの制限がなく家の中央に太い柱が立つケースはあまりなく、リフォームの際に間取りを大きく変えられます
賃貸住宅・店舗併用にする場合もRC造より有利
RC造よりも建築コストを抑えられ工期も短いため、店舗やオフィス、アパート、マンションを併設した住宅にもおすすめです。
複数の賃貸物件情報サイトを見てもRC造より鉄骨造の方が家賃は安いため、入居希望者の目に留まる可能性が高い点もメリットと言えるでしょう。
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重量鉄骨造のデメリットとその対策
他の構造と比べてメリットが多い反面、ブログやSNSでは重量鉄骨の住宅を建てて「やめておけばよかった」「後悔した」と感じている方もいらっしゃいます。
これらの失敗を避けるためには、事前に重量鉄骨造のデメリットや注意点とその対策を知っておくことが肝心です。
木造よりも建築費用が高い
鉄骨造は木造住宅と比べて新築費用が1.5倍程度高くなります。
構造種別 | 全国平均 施工単価(㎡・坪) |
---|---|
木造住宅 | 22.6万円/㎡ 74.6万円/坪 |
鉄骨造住宅 | 32.5万円/㎡ 107.2万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 37.5万円/㎡ 123.8万円/坪 |
構造種別 | 東京都平均 施工単価(㎡・坪) |
---|---|
木造住宅 | 24.6万円/㎡ 81.2万円/坪 |
鉄骨造住宅 | 38.8万円/㎡ 128万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 62.3万円/㎡ 205.6万円/坪 |
特に重量鉄骨造は軽量鉄骨造よりもかかるコストは割高で、「100〜130万円/坪」程度かかるケースが一般的です。
重量鉄骨造の戸建住宅を建てる場合は、木造以上に建築会社の標準コストをチェックしましょう。
品質を落とさず、広告費などを削減してコストダウンしている建築会社がおすすめです。
雨漏りに弱い
鉄骨造で最も気をつけなくてはいけない点が「雨漏り」です。
小さな雨漏りでも、放置してしまうと以下のリスクが高まります。
- 鉄骨の腐食が進む=建物の耐久性低下
- リフォーム(改修)費用が高くなる=持続可能性の低下
- サビ汁で外壁の美観が損なわれる
- 建物の資産価値が低下する
外壁などの隙間から内部へ雨水が侵入して鉄骨(鋼材)周囲の湿度が60%を超えると、表面から腐食してサビが発生します。
重量鉄骨は厚さが6mm以上と厚いため、軽量鉄骨よりも腐食による耐久性低下の速度は遅いものの、新築時に想定した耐力は維持できない可能性は十分考えられるでしょう。
新築時には鉄骨へ防錆塗装が施されているものの、その効果は5年程度で失われます。
鉄骨や湿気や水に弱い素材です。
雨漏りへの対策として定期的な外壁塗装やシーリング打ち替え、屋上防水メンテナンスが欠かせません。
そのため、家を新築する前にこれらメンテナンスにかかる費用と工事周期も確認しましょう。
地盤補強・地盤改良の費用が高くなる可能性がある
液状化リスクのある地域を中心に、家を建てる前には地盤補強や地盤改良が必要です。
それは木造住宅の場合も同様ですが、建物荷重が大きい重量鉄骨造は、より地盤を強固にしなくてはいけません。
そのため、一般的には木造住宅よりも地盤補強や地盤改良にかかる費用は高くなります。
地盤改良や地盤補強の方法は様々あるため、建築会社を選ぶ際はどのような方法を取るのか確認しましょう。
合わせて、液状化リスクのあるエリアや軟弱地盤に重量鉄骨造を建てた実績があるかも重要なチェックポイントです。
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固定資産税・都市計画税が高くなる可能性がある
マイホームを建てたらそれ以後ずっと納めなくてはいけないのが固定資産税と都市計画税です。
固定資産税と都市計画税の額は、所有する固定資産について「課税台帳に記載されている価格=固定資産税評価額(※)」に決められた税率を掛けて求められます。
※固定資産税評価額:固定資産評価基準による「再建築価格」を基に決められる(再建築費評点数×建築後の経過年数に応じた減価率)
つまり、新築費用が木造よりも高い重量鉄骨は、必然的に固定資産税額と都市計画税額が高くなるということです。
マイホームを維持するためには、毎年収める税額もチェックしておきましょう。
構造種別だけではなく、設備機器などによっても固定資産税評価額が変わる可能性があるため、気になる方は事前に税理士や管轄の税務署へ相談しておくのもおすすめです。
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リフォームで階をまたぐ水回りの移動が難しい
鉄骨造は床をコンクリートで作るため、排水管を別の階へ移動することは簡単ではありません。
そのため、「将来二世帯住宅にして2階に水回りを追加したい」「1階から2階へキッチンを移動させたい」などと考えている方は、給排水管の移動が比較的簡単な木造住宅をおすすめします。
同じ階で水回りを移動する場合も、移動距離によっては排水管の勾配(傾斜)が足りずに排水不良を起こす可能性があるので注意が必要です。
鉄骨造は間取り変更しやすい反面、水回りの移動が難しいデメリットがあります。
そのため、住まいの構造を選ぶ際は、将来にわたるライフスタイルや家族構成を踏まえてプランを検討しましょう。
将来、水回りを別の階へ移動させたり追加したりする可能性がある場合は、パイプシャフト(PS)を作っておくことをおすすめします。
前面道路の交通量が多い・狭い場合は施工が難しい
重量鉄骨の住宅を建てる際は、鉄骨を運んだり持ち上げるための重機が欠かせません。
そのため、前面道路の道幅が狭い場所や人や車が頻繁に行き交う場所、通行止めにできない場所では施工のハードルが一気に上がってしまいます。
東京都心部などの住宅密集地や住宅地の道路が狭いエリアで重量鉄骨造の家を建てる場合は、敷地のあるエリアで施工実績のある建築会社に相談しましょう。
敷地の条件を踏まえて、重量鉄骨造だけではなく木造も提案できるフレキシブルな会社がおすすめです。
重量鉄骨造を建てられるハウスメーカー・工務店は少ない
木造住宅を取り扱うハウスメーカーや工務店は多いですが、重量鉄骨の家を設計施工できる会社はかなり限られます。
そのため、家を建てる際の建築会社選びに悩んでしまう方は少なくありません。
住みたいエリアが決まったら、まずはそこで重量鉄骨の家を建てられる会社がどこか調べましょう。
全国エリアを網羅する大手ハウスメーカーも良いですが、コストが高くなりがちなので注意してください。
アイホームズでは、東京23区東部と千葉県(一部)、埼玉県(一部)で“地域密着”をモットーに、木造住宅と重量鉄骨の住宅を数多く手掛けています。
戸建住宅の構造種類に迷ったら「重量鉄骨造・木造のどちらも手掛ける」会社がおすすめ
「マイホームを鉄骨造にするか木造にするか迷っている」「家の新築を絶対に後悔したくない」という方は、重量鉄骨造と木造の両方を手掛ける建築会社がおすすめです。
どちらの構造に偏ることなく、公平に「敷地・予算・間取りの条件」に合うプランを提案できます。
アイホームズは、どこよりもリーズナブルに高品質な木造・重量鉄骨造住宅を提案できる自信があります!
重量鉄骨造の店舗併用住宅から都内発の耐火木造4階建て免震住宅の施工事例もございますので、まずはアイホームズまでお気軽にご相談ください。
まとめ
重量鉄骨には軽量鉄骨造や木造、RC造と比べて優れた点がある反面、事前に知っておいた方が良いデメリットや注意点もあります。
重量鉄骨造の戸建住宅は木造よりもコストがかかるため、建築会社からじっくり選びましょう。
アイホームズは、昭和43年創業以来、東京23区内で「高気密高断熱+高耐震」の家をリーズナブルな価格で数多く手がけてきた実績があります。
ずっと安心して住み続けられる家を建てたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社 アイホームズ
FAX:03-3613-6149
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