「相続の心配なんていらないよ?」
相続の話でよく聞かされるのが、
「うちは財産がないから、相続なんて心配しなくていいんだよ」 という言葉です。
相続税のことと、相続の手続きを混同している方は多いです。
たしかに、相続税の支払いをしなくてはいけない人は、国民全体のある程度の割合の人たちだけです。
(以前は4%程でしたが、今回の改正で基礎控除が下がる予定で、小規模宅地の特例などの制度も改正された為、相続税の支払対象となる世帯が特に東京都内ではかなりの割合で増えます)
ですが、銀行口座に多少の預金もない方はほとんどいないでしょうし、たとえ小さくても、狭くても
ご自分で土地やマンションを持っていたらそれは財産です。
それらの所有者を決めて、名義を変える手続きは誰にでも求められることです。
そして財産を分けることの難しさは、お金持ちも普通の人たちも複雑さは違えど、同じなのです。
残されたものが少ない(としたら)、少ない『からこそ』揉めてしまったり、禍根が残ったりします。
今は「そのときが来たら話し合って・・・」と言っていても、その時が来て、いざお金や不動産を
自分たちで分けなくてはいけなくなったときに、分け方や配分が、遺言書で指定されていなけ
れば、残された人は大変な思いをすることになり得ます。
「私は財産は要らないよ」と言っていた家族が、いざ相続となってみると、
「もらえるものは欲しい」などと言い出す例は実はすごく多いです。
その時になって慌てても、遺言書が残されていなければ、話し合いで解決する他はありません。
話し合いがうまくいかなければ、裁判で・・・ということになります。
データによると、
「財産が5000万円以下の人の方が5000万円超の家族より約3倍近く揉めている」 そうです。
(「相続の『落とし穴』」灰谷健司著)
普通の人の家族の方が、お金持ちより3倍も揉めている・・・
「財産がないからこそ」揉めてしまう。
だからこそ、生前からの準備が必要なのです。
相続税を払わなくていい家庭は多くあっても、相続の手続きをしなくてよい家は殆どありません。
本当に相続の心配が不要な家庭はほとんどない。と言っていいと思います。
相続には事前の準備が必要です。
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