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メンテナンスを考える~ライフサイクルコストとは~

2019年06月15日

皆さんこんにちは、五十嵐です。

 

住宅購入を考える時、どうしても

「住宅の価格」に目が行きます。

とくに「坪単価」がいくらか?と

単純に判断してしまいがちです。

確かに、購入時点での支払い可能額がありますから、

「建設コスト」には十分注意を払わなければなりません。

 

しかし「いくらかかるか?」だけでなく

「どんな仕様を使うのか?」ということも、

とても大切になってきます。

設計段階で決めた「仕様」は、

見た目の質感や快適性だけでなく将来、

家計から出ていくお金にも影響を与えるのです。

 

 

◎外装材の耐用年数は?

 

「五十嵐さん、大手建材メーカーのA社はとんでもないよ!

入社が終わり、施主と工務店の1社に立ち寄った時、

その工務店社長から1枚のパンフレットを渡されました。

表紙には「窯業系サイディング維持管理のしおり」

と書かれています。

 

「どうしたんですか?」と

私が尋ねてみると・・・・・

 

その工務店が6年前に建てた家の

外装材がA社のサイディングで、

外装材の伸縮により、シーリング部分の

剥離が発生しているそうです。

 

「まだ築6年なのに、メーカーの方は

保証しないっていうんだよ!」

現場で計測してみると、建物の長手方向で

8ミリ縮んでいたそうです。

そしてメーカー側から渡されたのが

上記のパンフレットです。

■点検はお客様ご自身で!!

■メンテナンス工事は建築された住宅会社・工務店様にご相談を!!

 

メーカーの保証や責任はどこにも書かれていません。

 

今、住宅を購入する人の多くは

サイディングなどの「工業製品」を使うと、

メンテナンスが楽で汚れも目立たないと思っているでしょう。

最近では、光触媒を利用したコーティングがされ、

汚れも雨で洗い流すことができるという商品も出てきました。

 

しかし、実際に施工後の経年変化で不具合が生じても、

メーカーは「自主点検」し

「施工者に相談しなさい!」ということなのです。

 

では、サイディングなどの外装材を

メンテナンスするときの目安とは何か?

『日本窯業外装材協会』発行の

パンフレットで見ていきましょう。

※上記協会は、日本の大手サイディングメーカー等

16社が加盟しています。

 

まず、塗装表面から・・・・・

サイディングは、タイル調などさまざまな

模様がありますが、基本的には表面を塗装しています。

「塗装」だから塗り替えが必要ですよね。

 

メンテナンス期間の目安として、

「5~10年で再塗装」とあります。

10年~15年で「再々塗装」、

以降5年ごとのスケジュールになります。

35年ローンを組んだ家でしたら、

6回塗装しなければならない計算です。

半分としても、3回塗り替えることになりますが、

実際住宅の塗装をする時「足場架け」も

必要になってきます。

 

40坪程度の住宅でも、足場を架けて

汚れないように養正をして、外壁だけでなく

木部の塗装などもやり直します。

恐らく150万~200万円程度は予算化する

必要があります。

※もちろん目安なので、塗装の種類や地域によって異なります。

そして、シーリングの劣化やひび割れも生じてきます。

※「シーリング」とは、材料同士の継ぎ目を埋める

ゴム状の材料です。

 

シーリングに関しては、メンテナンス時期の

目安は書かれていません。

築後すぐに「程度により部分打ち替え、

全面打ち替え」と記載されています。

 

赤外線に当たったプラスチック製品が、

数年で劣化するように、シーリングも

数年で劣化し弾力性がなくなります。

外壁材の伸縮や、大きな地震があれば、

すぐ剥離する可能性があります。

 

窯業系サイディングは、現在新築住宅の75%を

占めると言われています。

メーカーは「売るとき」には、

耐用年数が長いような話をします。

しかし、いざ不具合が出た途端「維持管理のしおり」

を提示するのです。

 

「10年ごとに100万円程度の

メンテナンス費用は必要ですよ♪」

(そうはっきりと書いてはいませんが・・・・)

 

既存住宅でサイディングを張ると、

重荷は2トン程度となるそうです。

だとすると、耐震診断と耐震補強も必要となります。

そして耐震補強をして張り替えるとなると・・・

塗り替えの倍近くかかります!

しめて約400万円の出費!?

嘘のようですが、本当の話です。

 

 

◎光熱費比較

 

入居後に考えなければならない

もうひとつのコストは、やはり『光熱費』。

テナントビルなどの計画では、

エレベーターなどの保守管理もあるので、

新築時に「ライフサイクルコスト」も計算します。

住宅取得時のコストを『イニシャルコスト』

そして、実際に住み始めて掛かるコストを

『ランニングコスト』と呼びます。

 

定借住宅のように50年後に

解体しなければならない場合は、

解体費用や廃棄費用も計算する必要があります。

これら諸々を総じたものが建物の『ライフサイクルコスト』です。

 

特に、地球温暖化などの問題もあり、

住宅にも省エネルギー性が求められてきました。

つまり住宅内で使うエネルギー消費を

抑えるということです。

エネルギー消費は大きく以下の3つの点を

考える必要があります。

 

1.断熱性能を高め、冷暖房の使用の少ない住宅をつくる

  ⇒高気密・高断熱化・屋上緑化など

2.給湯を中心とした熱源を、高効率な機器から選ぶ

  ⇒オール電化(エコキュートなど)、

   家庭用コジェネシステム(ガス)など

3.節電を心掛ける

  ⇒不要なテレビを見ない、電気ポットなどはマメに切るなど

 

3については、入居者の心構えや努力によるものですが、

1~2については、プロが建築段階で助言し、

施主が選択できるものです。

 

建築時に「安い」ことだけを求めると、

そのツケは施主が負担します。

では、光熱費を抑えるために、

どんな方法があるのか・・・・?

一度私の相談者で、断熱材や工法による

光熱費比較をしました。

 

 

「省エネ」で光熱費を下げることは、

誰でも歓迎でしょう。

今さら、便利な生活を我慢して、

昔のように「ローエネルギー」の生活に戻るには、

多くの人が抵抗ありますよね・・・・。

なぜか住宅には「ローコスト」が求められます。

本当に「低い」ことが望まれているのでしょうか?

むしろ時間や経費の無駄を省く「省コスト」が

望まれていると思うのですが・・・・。

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