ローコスト住宅に気をつけよう!
皆さんこんにちは。五十嵐です。
ここで「ローコスト系」と書いているのは、
ローコストを「販売戦略」に利用している住宅会社のことを指しています。
品質が確かで、支払いの総額を抑えられる「ロープライス」あるいは、
無駄なコストは省く「省コスト」であれば、私も皆さんも納得でしょうが、
ちょっと違うようです。
◎メーターモデュールの怪
1500万円程度なら、いわゆる「想定の範囲内」でしょう。
「テクニック」というのは、ポーチやバルコニー、
吹き抜けの一部まで床面積に入れて坪単価計算するということです。
これだけで3~5坪、100万~150万円上乗せできます。
その次の経費類まで別立てだと少し怪しくなってきます。
う~ん、厳しいけど・・・・・・「想定内」にしておこう。
だって、1800万円以内に収まりそうだから・・・・・・。
広告で謳っている金額との差額に少し戸惑いが出てきます。
でも、この予算でできる会社はまだ多くありません。
この段階で、坪単価に直すと50万円台です。
「4人の家族構成から見て、35坪あれば十分です!」
雑誌や分譲チラシなどで間取りを検討し、
限られた予算からほぼ自分たちの家の規模を計算しています。
ローコスト系住宅会社でプランをしてもらうと、
アラ不思議!ここで『延床面積』が40坪になっています。
この裏技が『メーターモデュール』というものです。
通常、日本の住宅は未だに尺貫法が残っており、
1間(けん)=6尺、6尺=1.82メートルで、1間×1間が1坪という計算です。
これがメーターモデュールになると、同じ和室6帖でも面積が違います。
▶910mmモデュールの和室6帖
2.73m×3.64m=9.94㎡(=3坪)
▶メーターモデュールの和室6帖
3m×4m=12㎡(=3.63坪)
単純におよそ2割面積が広くなります。
広くなって「施主が嬉しい!」のではなく「営業マンが嬉しい!」のです。
910モデュールのプランをそのままメーターモデュールにしただけで、
35坪のご要望が42坪にできるのです。
この7坪分は、坪単価50万円で350万円を稼ぎ出します。
ここで、およそ2000万円程度になってきました。わおっ~!
◎標準仕様
施主もこの頃になると「想定外」になってきます。
でも部屋数を減らすわけにもいかず、できるだけ廊下を減らし床面積を・・・・・・。
ようやく、我に返って床面積を40坪以下にするよう考え始めます。
4坪で200万円のコストが削減できるわけですから・・・・・・。
しかし、ここで営業マンが標準仕様書を提示するのです。
「弊社のこのシリーズは床面積が45坪以上となれば、
これ以下ではオプションの仕様や設備が標準仕様となります。」
内装ドアや仕上げがグレードアップし、食洗機も標準搭載です。
まるで、安いグレードの車で、カーナビを別途購入するよりも、
カーナビ付きの上位グレードのほうが割安な感じがするようなものです。
「でも、私たちはそこまで面積は必要ありませんから・・・・・・」
ちょっと後ろ髪を引かれながらも、面積の差が少しありあきらめかけます。
すると、営業マンは得意げに言います。
「この面積は、『施工床面積』なので、バルコニーなども含まれます!」
あと、1坪か2坪、最大100万円の負担をすれば、
150万~200万円程度のオプションが標準仕様になるのです!
「どうしよう・・・・・・」
「まっ、いいか!ここまで相談に乗ってもらったのだし、
これから他社への相談も面倒だ!
どうせこの金額だと他社は『安普請』の仕様しかできないかも知れないし」
こう自分たちを納得させることで、不安をぬぐおうとします。
間髪いれず「取りあえず、申し込みだけいただけますか?」
ローコスト系の営業マンは、タイミングが命です。
じっくり考える機会も、まわりに相談する時間も与えません。
まずは既成事実だけつくっておくのです。
本当は35坪しか必要ないのに、「施工」床面積で45坪の契約です。
まるで、小さな海老に衣をつけて膨らませたエビフライのように・・・・・・
食べてみると中はスカスカで美味しくありません。
しかも、不要な床面積が増えた分、翌年からしっかり固定資産税も割増されるのです。
私のところには、ローコスト住宅メーカーと仮契約された方なども相談にきます。
住宅展示場に行き、大手ハウスメーカーと話をしても、
とても自分たちの予算とはかけ離れている現実に愕然とします。
まさに、ローコスト住宅メーカーが救世主のようです。
しかし、実際には衣で膨らんだ「住宅価格」であっても、
まだ大手ハウスメーカーよりも価格は抑えられています。
使われている建材や設備もそんなに安普請ではありません。
私も実際に相談者のご要望を整理して新しいプランをつくってみることがあります。
すると無駄な面積は削られ、もっとグレードを上げても同程度の金額で
できることがいくつもの事例で確認できています。
まずは、無理のない資金計画を立てて、間取りプランを信頼できる住宅会社に
基準を使ってもらうことが先決です。
失敗しない家づくりブログその他のブログ記事