地震に備え、家も長持ち、資産を守るメンテナンス~住宅の劣化を見逃さないチェックポイント
私たちが健康診断や人間ドックを受けたり、自動車に定期整備が欠かせないように、住まいにも定期点検が必要です。家を建てた後、大規模なメンテナンスは5年~10年サイクルが目安です。地震などの災害に備え、家を長持ちさせ、資産価値も維持するためには、しっかりとしたメンテナンスが重要です。そこで今回は、マイホームの劣化を見逃さないためのチェックリストをご紹介します。ぜひ快適な暮らしの参考にしてくださいね。
目次
住宅の経年劣化はやむを得ない?
人が年齢を重ねていくように、マイホームも経年変化をしていきます。特に、近年の自然災害の増加、極端な気象変化などに直接さられている住宅は、こうした環境変化から私たちの健康と暮らしを守ってくれています。庭や無垢の木などはメンテナンス次第で経年美化させていくことが可能です。一方で、外壁、内装、住宅設備などは、経年劣化もやむをえないところです。
いつやってくるかわからない地震などの自然災害から家族を守り、家を長持ちさせるためには、定期的な点検を行い、必要に応じて適切なメンテナンスをすることが大変重要です。ライフステージの変化に応じて住み替えを検討することになるかもしれません。そのような時にも備えて、資産価値をできるだけ維持しておく必要もあるでしょう。
劣化のサインを見逃さないためのチェックポイント!
住宅金融支援機構「入居後の住まいの保守管理」では、マイホームの維持管理の目安として、住宅の屋外、構造、外構、屋内などの項目別に、主な点検項目、定期点検の目安の時期、交換やメンテナンスが必要なタイミングについて公表しています。
例えば、以下のようなチェック項目があります。
地盤のチェック
ポイント:擁壁(土留めなどのコンクリートや石積みの壁)の水抜き孔が詰まると敷地内の湿気が長期間抜けないことで、建物の劣化を早めたり、シロアリの発生原因にもなるので注意。
チェック項目
□地盤:ひび割れ、沈下、ゆるみはないか。
□擁壁:ひび割れ、亀裂、水抜き孔の詰まり、はらみはないか。
定期点検の目安:4~5年毎
となっています。
地盤は、その土地の地盤の強度や、地震での液状化現象などのリスク、水はけなど、住宅の安全性の根幹となる重要な要素です。建物の劣化のみならず、地盤を含めた総合的な住宅のリスクについてチェックする必要があります。
続いて、外壁の項目をチェックしてみましょう。
外壁のチェック
ポイント:外壁の表面には、雨水による泥はね、ほこりなどの軽い汚れ、あるいは湿度の高い条件の下ではカビやコケ、藻などが付着することもあります。 表面に長く付着していると、塗装の劣化を早めますので、なるべく早く落とすことを心掛けましょう。
外壁のチェック項目
点検部位 |
主な点検項目 |
点検時期の目安 |
取替えの目安 |
モルタル壁 |
汚れ、色あせ、色落ち、割れ、はがれ |
2~3年ごと |
15~20年位で全面補修を検討 |
タイル貼り壁 |
汚れ、割れ、はがれ |
2~3年ごと |
15~20年位で全面補修を検討 |
サイディング壁(窒業系) |
汚れ、色あせ、色落ち、割れ、 シーリングの劣化 |
3~4年ごと |
15~20年位で全面補修を検討 |
金属板 サイディング壁(金属系) |
汚れ、さび、変形、ゆるみ |
2~3年ごと |
15~20年位で全面補修を検討 (3~5年ごとに塗替え) |
といった具合です。
外壁は、住宅のなかでも、雨や風などから、家族の健康も守ってくれる、もっとも環境変化に直接さらされる部位です。
住宅のデザインを美しく保ち、雨漏りや、隙間風などがないように、外壁の傷みは早急に修繕する必要があります。
外壁の劣化は、多くの場合、サイディングのシーリング材の劣化、剥がれ、亀裂など、目視で確認ができます。
外壁の劣化は、雨漏り、水漏れ、柱や内壁などの劣化にも影響します。住宅へのダメージ度合いの大きい劣化のサインですので、定期点検で必ずチェックをして、修繕の必要性があるかどうか、しっかりと点検して、必要があれば早急に手当てをする必要があります。
同様に、
屋根のチェック
点検部位 |
主な点検項目 |
点検時期の目安 |
取替えの目安 |
瓦葺き |
ずれ、割れ |
5~6年ごと |
20~30年位で全面葺替えを検討 |
屋根用化粧スレート葺き |
色あせ、色落ち、ずれ、割れ、さび |
4~6年ごと |
15~30年位で全面葺替えを検討 |
金属板葺き |
色あせ、色落ち、さび、浮き |
2~3年ごと |
10~15年位で全面葺替えを検討 (3~5年ごとに塗替え) |
雨どい(塩化ビニル製) |
つまり、はずれ、ひび |
2~3年ごと |
7~8年位で全面取替えを検討 |
軒裏(軒裏天井) |
腐朽、雨漏り、はがれ、たわみ |
2~3年ごと |
15~20年位で全面取替えを検討 |
バルコニー・濡れ縁のチェック
点検部位 |
主な点検項目 |
点検時期の目安 |
取替えの目安 |
木部 |
腐朽、破損、蟻害、床の沈み |
1~2年ごと |
15~20年位で全面取替えを検討 (2~3年ごとに塗替え) |
鉄部 |
さび、破損、手すりのぐらつき |
2~3年ごと |
10~15年位で全面取替えを検討 (3~5年ごとに塗替え |
アルミ部 |
腐食、破損 |
3~5年ごと |
15~20年位で全面取替えを検討 |
となっています。その他の項目としては
■躯体
床組、軸組、小屋組等
■外構・その他
門・塀、郵便受け、警報装置、防犯装置など
■屋内
床仕上、壁仕上、天井仕上
■建具
外部建具、内部建具
■設備
給排水設備、浴室、ガス設備、その他
といった項目が示されています。ぜひ参考にしてみてください。
住宅を長持ちさせ、住宅の資産価値を維持するためには
住宅も建ててから5年~10年を超えてくると、先ほどのチェック項目に沿って定期点検をしていくと気になる箇所、修繕が必要な個所が出てくると思います。
もし気になる項目があれば、、大規模なメンテナンスが必要な場合と、日頃のメンテナンスが必要な項目にわけて対応する必要があります。適切なタイミングで、こうしたメンテナンスを行っていれば、住宅の寿命を延ばすことができ、修繕費用も抑えられ、資産価値も維持しやすくなります。
大規模なメンテナンスを検討するのは、屋根、外壁などは、約10年がタイミングの目安です。足場を組んで行う必要がありますので、屋根と外壁はまとめて行った方が費用はおさえやすくなるかもしれません。
日頃のチェックやメンテナンスは、大規模修繕の必要性を確認するためにも重要です。
半年~1年ほどのサイクルで、家全体をチェックすることで、何らかの不具合が発生していても、早期に発見し、早期対処がしやすくなり、費用面でも負担を抑えることにもつながります。
自分でできる日頃のチェック~住まいの気になるところチェックシート
では、日頃のチェックはどのようにすればいいのでしょうか。住宅金融支援機構の「住まいの気になるところチェックシート」を参考に確認していきましょう。
例えば、チェックシートには以下のような項目があります。
【外壁】
□ポストが傾く、もしくは倒れている
□ポストの開閉がうまくできない
□土間コンクリート面にひび、キズ、シミがある
□基礎にひび割れが見られる
□ポーチ、車庫等の床面のタイルが割れている
□2階バルコニーの床が傾いている
□樋の割れ、はずれ、変形、キズ等がある
□樋に落ちる雨だれの音がうるさい
□アプローチライト等の外灯がぐらついている
【床】
□歩くとギシギシ、ブカブカなど音がする場所がある
□床面にへこみ、反り、キズがある
□床から釘などが浮いている
□床材の間にすき間がある
□床面に波打ち・ふくれ・ヘコミ等がある(畳のふくらみ等)
□床の一部がはがれている
□床暖房に不具合がある
出典:住宅金融支援機構「住まいの気になるところ チェックシート」
確かにこのようなチェック項目が、
・床
・壁・天井
・柱
・建具
・サッシ
・スイッチプレート
・コンセント
・クローゼット
・雨漏り
・虫
・階段
・ユニットバス
・トイレ
・キッチン
・洗面所
・火災報知器
・漏電遮断器
などなど、家全体を見渡せる項目が網羅されています。
家は私たちの健康的な暮らしを守ってくれる大切なパートナー。半年~1年ごとに、こうした項目をチェックしていくことで、家も、家族も守ることができるわけですね。
日本の住宅政策も、既存住宅の有効活用、中古住宅の流通の促進など、家を長持ちさせて、資産価値を維持するための様々な施策が講じられています
今後、もし住み替えになることがあっても、しっかりとした点検、修繕履歴が記録されていれば、新たに引き継いでくださる方も、その確かな痕跡をくみとってくださるはずです。半年、1年毎のセルフチェック、はじめてみませんか?
まとめ
私たちが、健康診断や人間ドックを受けるように、住まいも定期点検が必要です。必要にお応じて、何らかの修繕が必要になることとがありますので、早期発見・早期対処が重要です。大規模なメンテナンスはまとまった費用がかかりますので、大規模修繕が必要なもの、日々のメンテナンスが必要なものをわけて考えて、計画的に実施することをおすすめします。リスクを早期に発見して、手当をしていくことで、費用も抑えることができますので、半年~1年の自己点検をチェックシートなどに基づいて実施することをおすすめします。
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