耐火構造の家にすれば10%大きな家が建てられる?!
都市部の防火地域や準防火地域では耐火性能の高い住宅を建てる必要があります。そのため、特に都市部では「防火地域は鉄筋コンクリート造しか建てられないの?」「制約が多くて自由な設計ができないのでは?」「狭小地だけど木造3階建てにできないかな?」といったご質問をいただくことがあります。
そこで今回は、防火地域や準防火地域に家を建てる際のポイント、基礎知識などをご紹介します。耐火構造の住宅であれば建築基準法の建ぺい率の緩和措置などもありますので、狭小地に家を建てる場合はぜひチェックしてみてくださいね。
目次
防火地域、準防火地域の違い
「防火地域」「準防火地域」は、都市計画法で「市街地における火災の危険を防ぐために定める地域」として指定されているエリアです。
火災が発生した場合の延焼を食い止めるために、建物が密集しているエリアや、火災時に消防車両などの緊急車両の通行を妨げないようにするために幹線道路沿いのエリアなどが指定されています。
多くの場合、駅前の繁華街や建物が密集するエリアが「防火地域」、その周辺が「準防火地域」となっています。
防火地域に住宅等の建物を建築する場合は、
①防火地域で3階建て以上、もしくは延床面積100㎡超(約30坪)の建物は、耐火建築物にする必要があります。
耐火建築物は建ぺい率が10%緩和される
準防火地域に住宅等の建物を建築する場合は、延べ床面積によって制限が異なりますが、住宅の場合、基本的に延べ面積が500㎡以下の場合に該当すると思いますので、その場合、1~2階建てと同程度の防火措置でよいとされています。1~2階建ての場合は、木造建築は外壁や軒裏、開口部などに建築基準法で定められた一定の防火措置が必要とされています。
ここでポイントとなるのは、2019年6月に施行された「建築基準法の一部を改正する法律」で、防火地域だけでなく、準防火地域に耐火建築物を建てる場合も、建ぺい(建蔽)率が10%緩和されたという点です。
つまり、家を建てようとされている地域が準防火地域もしくは防火地域であれば、耐火建築物を建てるのであれば一般の住宅よりも10%広い家が建てられるということになります。
仮に、建ぺい率の制限があり、2階建てで30坪までしか家を建てられなかった場合、36坪耐火の家が建てられる可能性がでてきたわけです。もしくは、建て替えの場合、セットバックが必要になると今よりも狭い家になってしまうことがあるのですが、10%の建ぺい率の緩和措置を利用すれば、今の家の広さとほぼ同様の延床面積で建て替えができるかもしれません。なお、建物の容積率などは設計の仕様によっても異なりますので必ず専門家に相談することをお勧めします。
なお、今回の改正では「外壁や外壁開口部などの外周部分の防火性能を強化すれば、内部に木材を利用した設計が可能」となりました。つまりこれまで「耐火建築物」は、内部の木材は石膏ボードなどで被覆する必要があったのですが、今回の改正で、「耐火建築物相当」として、木の梁や柱、間仕切り壁などの素材をそのまま「あらわし」むき出しで仕上げることができるようになりました。木の質感を生かした空間づくりが可能となったのです。
建ぺい率と容積率の基礎知識
建ぺい率とは
建築基準法では、建物を建築する場合、「建ぺい率」と「容積率」が定められています。
建ぺい率という言葉は皆さんよく聞くことが多いと思いますが、言葉の定義は「建物を建てる土地の面積(敷地面積)に対する建築できる面積(建築面積)の割合」のことです。
建築面積とは、延べ床面積のことではなく、イメージとしては、建物を真上から見て光を当てた場合に、影ができる面積だと考えるとわかりやすいかもしれません。
たとえば、建ぺい率60%の場合、100㎡の敷地面積であれば、その60%の60㎡までの建築面積で建物を建てることができるという意味合いになります。
土地を有効活用したいと考えてできるだけぎりぎりまで無駄なく建てたいと考えても、建ぺい率が高すぎると、防災の観点や通風も考慮すると、土地に対してある程度のスペースを空けて建てるようにすることが望ましいということから建築基準法で制限が設けられているのです。
容積率とは?
容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。各階の床面積を合計して算出しますので、その土地に対して何階建てで、どの程度の広さの建物を建てることができるかともいえる基準です。なお、延べ床面積には、制限はありますが、玄関、ロフト、ベランダ、バルコニーなどは含まれません。
ちなみに、容積率を制限する目的は、住宅と公共インフラのバランスを保つための制限です。つまり、容積率の制限がないと、公共インフラの整備が遅れている地域などで階数が多い住宅が増えた結果、人口が急増して、上下水や道路などの公共インフラが十分でなくなると、最低限の住民生活が確保できないことになるため、ある程度の制限を設けることで人口をコントロールしているのです。
それぞれの計算式は以下の通りです。
建ぺい率と容積率の計算式
建ぺい率(%) = 建築面積 ÷ 敷地面積 ×100
容積率(%) = 延べ床面積 ÷ 敷地面積 ×100
なお、建ぺい率や容積率は区市町村ごとの都市計画で定められていますので、それぞれ異なります。また、建物の前面道路の幅などによっても制限が変わる場合がありますのでご注意ください。
建ぺい率と容積率の緩和措置
このように、地域によって建ぺい率と容積率の基準があり、建築できる住宅などの建物の規模が規制されている一方で、緩和措置もあります。
まず、建ぺい率の緩和条件は、建ぺい率80%の地域以外(30、40、50、60%)で、「防火地域の耐火建築物」の場合、用途地域で規定された建ぺい率に10%を加えて算出することができます。また「角地」の場合も、建ぺい率を10%加えることができます。つまり、防火地域×耐火建物×角地であれば基準となる建ぺい率に20%プラスして算出することができるのです。
さらに、容積率では「地下室」、「ビルトインガレージ(インナーガレージ)」などの面積を割り引いて換算する緩和措置が設けられています。
なお、「土地がどういった用途地域に属しているか」「土地の建ぺい率」は仲介業者は購入希望者に伝える義務があります。同様の土地でも建ぺい率や容積率が異なれば、建築できる建物が変わってきますので、購入の際には事前に十分に確認しておく必要があります。
狭小地に家を建てるときに気を付けたいこと
なお、民法では、隣地境界線から外壁は最低50cm以上は開けなければならないと定められています(民法234条)。これは防火の観点から隣家への延焼を防ぐこと等を目的とした制限ですが、防火地域内で耐火建築物を建てる場合は、隣地境界線に接して建てることができます(建築基準法第65条)。
なお、あまりにもぎりぎりになるとエアコンの室外機などの設置ができない、設置できても空調効率が低下したり、故障の原因、隣家とのトラブルにもなりかねませんのでその点はご注意ください。
また、隣地境界線から1m以内の窓、縁側などは、目隠しが必要です(民法235条)。プライバシーの観点からは1m以内でなくてもお互いのために配慮したほうがよいですよね。
このように、狭小地に住宅を建てる際は、建ぺい率や容積率以外にも考慮する必要がありますので、地域の工務店や専門家に相談することをおすすめします。
東京で耐火構造の家を建てるならアイホームズにご相談ください
弊社の主な施工エリアとなる城東地区(墨田区、荒川区、台東区、葛飾区、江東区、足立区、江戸川区等)は、防火、準防火地域となり、非常に高い耐火基準を求められます。
木造耐火構造による「アイホームズひのき」は、国土交通大臣の認定を受けた1時間耐火構造の木造住宅ですので鉄骨住宅と同等の耐火性能があります。
従来、木造軸組工法では建築できる地域や規模に多くの制約を受けていました。例えば商業地などのいわゆる防火地域では、100㎡超の建物や階数が3階以上の建物は、火災に強い「1時間耐火構造」の建物を要求され、木造の建築物はその制約を受けない範囲でしか建築することができませんでした。
狭小密集地という地域性に、より柔軟に対応できる、木造耐火構造による「アイホームズひのき」は、準防火地域はもちろんのこと、防火地域内であっても木造3階建ての快適な木の住まいを実現することができます。
木造軸組在来工法でお得!
規模によって構造に制限を受ける防火地域内では、工法による建築費の差は歴然です。
木造耐火構造アイホームズ「ひのき」は、工法はあくまでも木造軸組工法ですから鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べると建築費も工期も有利になることはいうまでもありません。
自由設計で柔軟に対応
ご要望や敷地条件などに応じて柔軟に対応できるのも木造軸組工法の特徴の一つです。1時間耐火構造であってもその柔軟性は変わりません。
居住性の高さも魅力
木造軸組工法の1時間耐火構造は、構造材を耐火被覆するメンブレン工法です。外壁はALC(軽量気泡コンクリート)板と窒素系のサイディングの二重張りとするなど、準耐火構造にくらべ、床・壁・天井が厚くなるため、耐火性能だけでなく断熱性能や遮音性能も高くなります。繁華街や大通りの近くなど立地条件に難がある場合でも、高い居住性を確保することができます。
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木造住宅「ひのき」シリーズを動画でも紹介していますのでぜひ参考にしてください。
株式会社 アイホームズ
FAX:03-3613-6149
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