【東京】新築アパートの利回り相場と最低ライン|種類・計算方法・リスク回避のポイントを解説
- 古い家を建て替えてアパート経営を始めたい
- アパート経営で収益を得たいがうまくいくか心配
このようにお考えの方のために、こちらの記事では新築アパートの利回りを計算する方法や相場、理想&最低ライン、利益率を上げるヒントを解説します。
そのほか、東京都内を対象としたアパート新築に関連する補助金制度についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
■ アパート経営を始める際には「実質利回り」を踏まえて計画を立てることが重要です。
■ アパートの利回りを高める方法はいくつかあります。
■ アイホームズは墨田区を中心に東京23区で3階・4階建ての耐火木造注文住宅を手掛けています。
目次
アパート経営は「東京」が強い
これからアパートを新築して賃貸経営を始める方におすすめなのは、やはり「東京エリア」です。
その理由は、主に3点あります。
家賃の高さ
ここで、アパートの家賃(1K・1DK・1LDK)と新築費用の平均価格を見てみましょう。
対象エリア | アパートの平均家賃 | アパートの平均新築費用 |
---|---|---|
全国 | 53,075円/月 |
31.7万円/㎡ 104.6万円/坪 |
東京 |
73,802円/月 (全国平均比+39%) |
40万円/㎡ 132万円/坪 (全国比+26.2%) |
参考:全国賃貸管理ビジネス協会|全国家賃動向|2025年1月
参考:国土交通省|建築着工統計調査|住宅着工統計|2025年1月
上のデータを見ると、東京は新築費用が全国平均よりも約26%高いものの、家賃は全国平均に比べて約39%プラスの価格であることが分かります。
土地の資産価値
ここで気になるのが土地の価格ですよね。
東京の地価は上昇を続けており、住宅地地価は全国平均の8倍近くにも及びます。
しかし、対前年比変動率は全国平均の4倍以上であることから、仮にアパートが老朽化して収入を得られなくなった場合でも土地が固定資産として残る点はポイントです。
対象エリア | 住宅地平均地価 | 対前年比地価変動率 |
---|---|---|
全国 | 56,362円/㎡ 185,9945円/坪 |
0.7 |
東京 | 430,600円/㎡ 1,420,980円/坪 |
3.0 |
ただし、東京で土地の取得からアパート経営を始める場合は、まとまった資金が必要となります。
また、土地の購入後にかかる固定資産税額も当然ながら東京以外の場所よりも高くなるので注意しましょう。
ニーズの多さ
東京、特に23区内は、狭小アパートのニーズが多いため、立地が良ければ比較的空室になる確率を抑えられます。
- 駅から近い
- 大学や専門学校から近い
- いくつかの電車・バス路線から徒歩圏内
- オフィス街から自転車圏内
東京23区ではこれらの条件に当てはまるエリアが多いことから、大規模のマンションではなく小規模なアパートでも十分賃貸収入を得られる可能性があります。
>【おすすめコラム】狭小アパート建築でも不動産投資は可能|間取りや設備のポイントと業者選びのコツを解説
お問い合わせはこちら利回りの種類|表面・想定・実質利回りの違いと計算方法
アパート経営を始める上で重要になるのが「利回り」です。
ただし、利回りにはいくつかの種類があり、それぞれ参考にするシーンは異なります。
表面利回り(グロス利回り)
表面利回りとは、投資額に対する年間家賃収入の割合で、物件のおおまかな収益性を判断する際に確認する指標です。
ただし、表面利回りには固定資産税・都市計画税や修繕メンテナンス費用などの諸経費は考慮されません。
また、経年による家賃下降も想定していないため、年数が経つほど実際の利回りとの差が開くケースが大半です。
実際の利回りよりも“数字上は”良い条件に見えるため、不動産広告などでは表面利回りを用いるケースが多いので注意しましょう。
想定利回り
想定利回りとは、常に満室の状態であると場合の年間家賃収入を想定して算出する利回りで、こちらにも税金などの諸経費は含まれません。
その物件で得られる収入の上限を知りたい場合に用いられます。
想定利回りは表面利回りと同様に、不動産広告などに表記されていることが多く、実際の利益を示す数値ではありません。
実質利回り(ネット利回り)
実質利回りとは、投資額に対してその物件によって得られる年間純収益の割合を示すものです。
ポイントは、投資総額に新築(新築)時にかかった諸経費を含める点と、年間収益から経費を差し引く点です。
新築(購入)時にかかった諸経費の主な例は以下の通りです。
- 不動産会社へ支払う仲介手数料
- 不動産登記手続きにかかる司法書士の報酬
- 印紙代
- 不動産取得税額
年間経費には、以下のような費用が含まれます。
- 固定資産税・都市計画税額
- 火災保険・地震保険料
- 管理委託費
- 共用部及び各室の修繕費・清掃費
- 共用部の光熱費
- 入居者募集にかかる費用(不動産会社へ支払う仲介手数料など)
ローンなどの返済額や減価償却費、大規模修繕費用は含まないので注意しましょう。
実質経費の優れた点は、その物件のリアルな収益性がわかる点です。
ただし、計画を検討している段階では把握しにくいため注意が必要です。
アパートの新築や物件購入を検討している段階で収益性を確認したい場合、
年間経費=年間の家賃収入額「20%」相当額
投資額に対する諸経費=物件の新築や購入価格の「10%」相当額
を踏まえて計算すると、実質利回りに近い数値を把握できます。
賃貸アパートの利回り相場|理想値と最低ライン
アパート経営を始めるにあたって最も重要となるのが利回りですが、継続的に収益を生み出す物件かどうかを判断するためには「理想的な利回り」と「利回りの最低ライン」を知っておく必要があります。
まずは、平均的な利回りから見てみましょう。
平均的な利回り相場
アパート(一棟ごと所有する場合)の利回り相場は以下の通りです。
利回りの種類 | 平均値 |
---|---|
表面利回り | 8〜10%程度 |
実質利回り(新築) | 2〜8%程度 |
実質利回り(中古を含む) | 5%程度 |
ただし、アパートの利回りは常に一定ではなく、経年や空室率変動によって変化するため、「平均的な利回りが確保できそう」だからと言って安心できません。
理想的な利回り
新築アパートの理想的な実質利回りは「5%以上」です。
仮に、東京の平均家賃7.4万円/月(1DK・8室で空室率15%で6室稼働)でシミュレーションすると、以下の計算式が成り立ちます。
年間経費目安=532.8× 0.2=106.6万円
純利益額目安=532.8 - 106.6=426.2万円
実質利回りを5%と想定すると、新築(物件)購入時にかけられる費用は
497.3 ÷ 0.05=8,524万円
このケースで言うと、新築(物件購入)時に諸経費も含めて8,524万円を上回ると、理想的な実質利回りを下回り、採算が取れなくなる可能性があると言うことです。
また、空室率が上がって年間家賃収入が下がる場合も、同様に実質利回りが下がるので注意しましょう。
利回りの最低ライン
新築アパートの実質利回りは「3%」を下回ると“危険水域”に入ります。
想定される実質利回りが3%で経営を始めると、少しの変化で利回り0%、つまり赤字に転じるリスクが高いからです。
利回りの低下をもたらすポイントは以下の通りです。
- 空室率の上昇
- ローンの変動金利上昇
- 修繕にかかる経費の値上がり
- 光熱費(共用部)の値上がり
アパート経営を継続するためには、新築(購入)時の利回り設定がとても重要です。
新築と中古物件の購入では利回りに違いがあるため、経営プランを検討する際にはそれぞれの特徴を比較しましょう。
新築と中古ではアパートの利回りに違いあり
新築アパートと中古アパートでは、利回りに違いがあります。
新築アパート |
|
中古アパート |
|
※減価償却:税法上、経年によって不動産価値が減っていくと言う考え方で、初期投資額を法定耐用年数で割って経費計上できます。(参考:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし)
初期投資額を抑えて早い期間で資金回収したい方には「中古アパート」がおすすめですが、長期間安定して収益を得たい方には「新築アパート」がおすすめです。
また、初期投資額が高く安定した利益を生み出す比較的新しいマンションは、より多くの現金を税評価額の低い不動産へ移行できる観点から、相続税においても中古アパートより有利になる可能性が期待できます。
新築アパートは土地を所有していると有利
新築アパートを建てる方の中には「ご実家を建て替える」「使わない土地がある」など、元々土地を所有している方は少なくありません。
土地を所有している場合は購入費用がかからないため、利回りの面でとても有利です。
逆に土地の購入から始める場合、東京都内では高い地価が投資額に含まれるため、実質利回り5%のハードルはとても高いと言わざるを得ません。
東京で使わない土地や相続した土地を所有している方にこそ、アパート経営をおすすめします。
最近は、1階をご自宅にして2階以上をアパートとして賃貸に出す「アパート併用住宅」のプランも人気です。
アイホームズは東京墨田区を中心に、アパート併用住宅・アパート併用住宅の設計施工事例が豊富なので、お気軽にご相談ください。
アパート経営を成功させる&利回りを上げる方法
アパートの利回りをあげて経営を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
実質利回りが重要
不動産広告やデベロッパーの資料では、「利回り10%」など惹かれるキーワードが書かれていますが、これは表面利回りであって実質利回りと差があるかもしれません。
そのため、長期的なアパート経営計画を立てる際は、必ず実質利回りを確認しましょう。
空室率の上昇を想定する
アパート経営と切っても切り離せないのが「空室のリスク」です。
表面利回りや想定利回りは満室を想定しているため、実際にはそれほどの収益を見込めない可能性があります。
仮に先ほどのシミュレーションと同様に家賃7.4万円・8室の物件で空室率ごとの収入額を比較してみましょう。
空室率 | 稼働部屋数 | 年間収入額 |
---|---|---|
10% | 7室 | 7.4 × 7 × 12=621.6万円 |
20% | 6室 | 7.4 × 6 × 12=532.8万円 |
30% | 5室 | 7.4 × 5 × 12=444万円 |
なんと、空室率が20%上昇して稼働部屋数が2部屋減るだけで年間の収入額が約180万円も減ってしまうのです。
もちろんアパート経営においては空室率を上げず満室をキープすることが鉄則ですが、最初から満室で利回りを想定せず、地域の特性を調査してある程度の空室も見込んでシミュレーションしましょう。
地域の空室傾向を知りたい場合は、そのエリアの不動産業者などへ相談しましょう。
ローンの金利上昇を想定する
金融機関から融資を受けてアパートの建築費用を確保する場合、“現時点では”金利の低い「変動金利」を選ぶ方は少なくありません。
しかし、借入期間を通して金利が固定される「固定金利」とはことなり、変動金利は完済するまでに金利が上がる可能性があります。
変動金利率は2009年から変わっていませんが、今後はいつ引き上げられるかわからない状況です。
0.5%の上昇でも返済額に大きく影響して利回りの低下につながるため、資金計画は余裕を持って立てましょう。
家賃の値下がりを想定する
アパートは築年数が増えるごとに借り手にとってのメリットが薄れて、家賃が下がるのが通常です。
新築時の家賃を100%とすると、築15年で90%程度にまで下がるケースは珍しくありません。
家賃を保つためには通常の修繕工事に加えて競合物件と差をつけるために付加価値を提供する必要があります。
仮に借主との契約更新の際に家賃交渉しても、借地借家法にて「家賃の値上げには正当な理由が必要」とされているため、思うように値上げできない可能性もあるので注意しましょう。
適切な部屋数・建物規模にする
アパートの収益を増やすためには家賃を高く設定する方法に加えて、「部屋数を増やす方法」がありますが、部屋を小さくすれば良いと言う訳ではありません。
国土交通省が公表する重生活基本計画によると、家族構成ごとに「健康で文化的な住生活を送る」ためには以下の広さが必要としています。
家族構成 | 最低居住面積 |
---|---|
1人(単身者) | 25㎡ |
2人 | 30㎡ |
3人 | 35㎡ (3〜5歳児が1人含まれる場合) |
この広さを下回ると、空室率が高まるリスクがあります。
都心部の狭小地で部屋数を増やすためには、建物の階数を3階・4階と増やすことも検討しましょう。
アイホームズでは、東京・墨田区を中心に、木造3階・4階建ての施工事例が豊富です。
修繕費(長期修繕計画)を想定する
アパートの長期的な経営に欠かせないのが「修繕費の想定」です。
建物は築年数が増えるほど修繕費用は高くなります。
特に、水回りや設備配管・電気配線、外壁・屋根などの外回りは10〜20年でやりかえが必要となり、100万円単位での出費となるので注意しましょう。
そこで最近注目されているのが、「長期優良住宅」です。
長期優良住宅とは「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」を指し、認定を受けるためには以下の条件をクリアする必要があります。
- 数世代にわたり構造躯体を使用できるための「劣化対策」
- 地震に対して損傷レベルを低減し、改修できるための「耐震性」
- 断熱性能などの「省エネルギー性」
- 継続的に建物の状態を保つための「維持管理・更新の容易性」
- 定期的な点検・補修を可能とする「維持保全計画」
ただし、都心部の狭小地に建てるアパートでは、「バリアフリー性」や「認定に必要な住戸面積(40㎡以上)はクリアできないため、公的な認定を受けるハードルは高いと言わざるを得ません。
しかし、そのほかの条件を満たした「長期優良住宅と同等の建物」にすれば、長期的な修繕費を削減できて建物寿命を伸ばすことができます。
維持保全計画に沿ったメンテナンスを実施するために、新築時から修繕費を積み立てておくことも肝心です。
物件を木造にする
アパートの構造はいくつかありますが、建築費用(=初期投資額)を抑えたい方には「木造」がおすすめです。
構造種別 | 全国平均単価 | 東京平均単価 |
---|---|---|
木造(非耐火) | 68.3万円/坪 | 71.6万円/坪 |
木造(耐火) | 75.1〜88.8万円/坪 | 78.8〜93.0万円/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 100.3万円/坪 | 127.0万円/坪 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 104.9万円/坪 | 115.2万円/坪 |
鉄骨造 | 97.0万円/坪 | 116.8万円/坪 |
参考:国税庁|地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和6年分用】
木造アパートと聞くと古めかしく耐震性がRC造やS造と比べて劣ると思われがちですが、そうとも限りません。
アイホームズでは、東日本大震災や熊本地震でその安全性が証明されたスーパージオ工法を木造アパートにも採用しています。
通常、3階・4階建てのアパートは耐震性を確保するために地盤深くまで杭打ち工事が必要ですが、スーパージオ工法は建物重量と同等の特殊減振材を地盤に敷き詰めることで、高い耐震性を実現します。
スーパージオ工法は東京23区内の広範囲でリスクのある液状化対策になる点もポイントです。
>【おすすめコラム】戸建住宅の液状化対策とは?11の工法について簡単に解説
>【おすすめコラム】「免震構造の家は地震に強い」って本当?メリット・デメリットと耐震や制振との違い、価格について
アパートを木造にするメリットは建築費用の安さだけではありません。
- 他の構造より工期が短く、収益化できるまでの期間が早い
- 他の構造より家屋の固定資産税に関わる経年減点補正割合が高い(築年数が経つほど固定資産税額が少なくなる)
- 他の構造より大掛かりな重機が少なく、狭小地や建物密集地でも施工しやすい(近隣トラブルが少ない)
参考:法務省|経年減価補正率表
>【おすすめコラム】木造耐火構造の建物|定義とメリット・デメリット、価格、補助金について解説
施工実績豊富で建築費用を抑えられる会社を選ぶ
利回りの高い新築アパートにするためには階数を増やして木造にする方法がおすすめです。
ただし、利便性の高いエリアは防火地域や準防火地域に指定されている可能性が高く、そこで木造の3階・4階建てアパートを施工できる建築会社は限られます。
そのため、建築会社を選ぶ際は施工実績が豊富な会社を選びましょう。
アイホームズは良質な国産ヒノキを用いた4階建てまでに対応できる耐火構造の注文住宅を数多く手掛けています。
総合住宅展示場への出展費用や広告宣伝費を抑えて、新築にかかる“本当の費用”を提供し、「大手ハウスメーカーと同等の家を30%安く建てる」ことをお約束します。
アイホームズの「大手ハウスメーカーより30%安く建てられる理由」
お問い合わせはこちら
東京で使えるアパートの新築に関連する補助金
最後に、これから東京でアパートを新築したい方に耳寄りな情報を紹介します。
東京では街の防災性アップに取り組んでおり、都市計画道路の沿道30m以内に入る範囲「不燃化促進区域」内の建物を木造耐火建築物へ建て替える場合に補助金が支給されます。
東京都都市防災不燃化促進事業の事業例
- 台東区「住まいの共同化と安心建替え支援制度」
- 葛飾区「不燃化特区内の建替え助成制度」
- 墨田区「木密地域不燃化プロジェクト推進事業」
- 北区「都市防災不燃化促進事業」
そのほかにも、以下の制度の対象となる可能性があるため、事前に詳細を確認しておきましょう。
まとめ
アパート経営を成功させる上で重要な指標が「利回り」です。
具体的な収益をシミュレーションしたい場合は「実質利回り」を参考にしましょう。
また、利回りを上げるための工夫も欠かせません。
アパートの収益性を高めたい方におすすめなのが、木造の3階・4階建てアパートです。
アイホームズは、昭和43年創業以来、東京23区内で「高気密高断熱+高耐震」の木造耐火建築物をリーズナブルな価格で数多く手がけてきた実績があります。
狭小地への施工実績も豊富であり、アパートの新築・建て替え・リフォームいずれも対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社 アイホームズ
FAX:03-3613-6149
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