地盤改良工事の種類と注意点
地盤は家づくりにおいて非常に大切な要素でありながら、
それほど注意を払う人が少ないのが現実です。
●地盤改良工事って何?
家をいくら頑丈に建てても、
家を建てる土台となる地盤(土地)が柔らかいと家ごと傾いてしまったり、
家が傾いてしまった事によって家が傷み、雨漏りやドアが開かないなど、
いろんな不具合が出てきてしまいます。
不具合を防ぐためには、まず地盤をしっかり調べて、
必要であれば補強をしなければなりません。
この補強をすることを地盤改良工事と言います。
●どうやって地盤改良工事が必要か判断するのか?
まず地盤調査を行います。
色んな方法がありますが、木造住宅の場合、
一番メジャーなのはスウェーデン式サウンディング試験と言いまして、
地面にドリルで穴を空けて地面の固さを調べます。
重りを乗せてドリルを回転させ、何回転でどれぐらい掘り進んだのか、
回転させてこれ以上進まなくなるところはどこなのか
といった試験をすることによって地面の固さを調べることができ、
地盤改良工事が必要かどうかを判断することができます。
そして、必要な場合は、改良(補強)を施すといった流れになります。
●地盤改良工事(補強)の種類は?
大きく分けると3種類あります。
①表層改良
②柱状改良
③鋼管杭
このような工法になります。
①表層改良(コスト小)
支持層(固い地盤)が比較的浅いところにある場合に施す地盤改良です。
概ね深さ1m~2mぐらいまでの表面の土を入れ替えて
セメントなどの固い材料を混ぜ、固くするというのが表層改良になります。
その下は固い地盤になっていることが前提です。
②柱状改良(コスト中)
支持層(固い地盤)が概ね10mまでの深さにある場合に施す地盤改良です。
こちらは色んな方法がありますが、
メジャーなのは「湿式柱状改良」と言いまして、
地面の中にセメントの柱をつくるようなイメージです。
直径が大体50cm~60cmの穴を地盤に掘り、
その中に現場の土とセメントを混ぜ込んで
コンクリートの柱をつくる改良方法です。
これを何十本と作り、その上に家を乗せ、
固い層に重さを伝えるといったかたちです。
③鋼管杭(コスト大)
支持層(固い地盤)が10mを超える深さにある場合に施す地盤改良です。
先ほどの「湿式柱状改良」は概ね10mまでしか
地盤に穴を空けるドリルが届かないという事で、
それ以上深いところにある支持層がある場合には、
鋼管杭といって鋼製の杭を少しずつ打ち継いでいき、
深い所まで突き刺していきます。
そして、その杭の上に建物を乗せるという風なイメージです。
直接支持層に重さを伝えるといったかたちです。
先ほどの柱状改良も支持層の重さを伝えるという意味もありますが、
どちらかというと柱の摩擦の力を利用し、
重さを分散させるような意味もありますが、
この鋼管杭に関しては直接支持層に重さを伝えるといったイメージです。
少しずつそれぞれの工法の特徴が違います。
●地盤改良工事のメリット
まずは当然ながら地盤が補強されるので、
将来的に不同沈下(地盤沈下)という建物がバラバラに沈むことを防ぐことができます。
例えば、東の角は建てたときのままですが、西の角はグンと下がってしまった、
そうすると家は傾いてしまいますよね。
これが不同沈下です。
また、均一に沈むこともあります。
重い建物に人が住むわけですから、多少(数ミリ~数センチ)の沈みはありますが、
揃って沈んでいる分には大きな影響はありません。
もちろんグンと深く沈んでしまうのはダメですが、
わずかな均一な沈下については大きな影響はないですが、不同沈下はやっかいですよね。
基礎や外壁にヒビが入ってしまったり、
雨漏り、床の傾き、最終的には家の耐久性と住み心地、
安全性に大きな影響が出てきてしまいます。
これを避けられるのが地盤改良の良いところです。
●地盤改良工事のデメリット
将来的に地盤改良した部分の撤去に費用がかかります。
今建てる家は良いですが、
将来的にその土地を買って建替える人の立場からすると、
建物はもちろんいらなくなるので撤去しますが、その下の過去に改良した部分も当然、
何十年も前に改良したものなので使えないことが多く、撤去しなければなりません。
かなり深い所まで撤去しなければならないケースもあるので、
その土地で新しく家を建てる人にとっては負担になることがあります。
売却する際にはもしかしたら相応の値引き対応が求められる可能性もあります。
●地盤改良工事の注意点(裏話)
地盤改良工事費はメーカーによってさまざまです。
地盤改良工事費に本体工事分の利益を上乗せしてしまっているメーカーも中にはいます。
注意すべきところは、地盤改良の調査・保証は誰が行っているかというところです。
例えば、第三者、いわゆる地盤保証を専門としている会社が調査をして、
そこが保証し、地盤補強がいるのかいらないのかを指示を出しているのであれば、
一般的には安心・安全です。
第三者の目が入って、第三者が判断して、第三者が保証するという場合は、
そこに恣意的なものはありません。
しかし、自社で、例えば建築会社が調査をして、
自前で保証していますという場合は、変な話、
なんとでも言えてしまう可能性があります。
地盤改良が必要ない場合でも改良が必要ですと伝え、
地盤改良費に本体工事分の利益を上乗せしてしまったりする可能性も無きにしも非ずです。
建てる側からすると、
「この地盤は柔らかいですよ」と言われてしまえば、
地盤改良せざるを得ないという心理に当然ながらなりますよね。
地盤が柔らかいか固いかは、その地層や立地によってさまざまで、
もちろん海や川に近ければ地盤が柔らかいことはありますが、
木造住宅ですと一番高い場合の地盤改良費でも120万円。
平均的に言えば70万円~100万円程度という事が多いです。
地盤改良予算を最初から150万円とみている会社がもしあるとすれば、
「あれ?ちょっと高いな・・・。」という目線で見てもいいのかなと思います。
●地盤改良工事まとめ
長く安心して住んでいくためには、必要なことでもありますので、
しっかり第三者による地盤調査・地盤保証というのがある住宅会社を
選んでみてはいかがでしょうか。
ということで今回は地盤改良の種類と注意点についてお話ししました。
地盤改良についてはこちらの記事でもお話ししていますので、
是非合わせて読まれてみて下さい。
地盤改良の費用と手間は惜しんではいけない
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