震度とマグネチュードとガル
■地震のエネルギー
こんにちは、中原です。
日本のどこかで地震が起きると、
テレビではすぐに地震速報が流れます。
真っ先に各地の震度が伝えられ、
しばらくして、地震波の分析から震源地と深さ、
地震規模であるマグネチュードが発表されます。
こうした発表は、技術の進歩とともに
早くなり、精度も増してきました。
震度というのは、昔は体感で決められていましたが、
現在では計測震度として地震波形等から計算されます。
マグネチュードというのは、
地震のエネルギーの規模を表すものです。
大きいほど地盤が激しく動いたことを表します。
東日本大震災のマグネチュードは、
先のアメリカ地質調査所のデータによると
世界の地震の歴史の中では4番目の規模になります。
そのうち2回は、21世紀になって10数年の間に起きた地震です。
でも、たとえ大きなエネルギーで地面が動かされても、
遠く離れていれば震度は小さくなります。
エネルギーの伝達は、距離が離れるほど、
途中で減衰するので、これも当然の話です。
ですから、確かにマグネチュードで地震の大きさを
比較することはできますが、住宅に対する影響を
マグネチュードで考えることはできません。
一般的な震度では、建物に対する力の強さが曖昧なので、
加速度の単位としてのガルがよく使われます。
■加速度で計算
地震の計測に関しては、日本では関東大震災で初めて、
大地震の地震波が残されました。
この時の地盤面の水平加速度は400ガル弱とされています。
日本では長い間、この地盤面加速度を基準として、
建物の強度が考えられてきました。
加速度と言われても、なかなかイメージしにくいのですが、
最も身近な加速度は、重力加速度、つまり引力です。
重力加速度Gは、約980ガルです。
例えば建物を、模型のように持ち上げて真横にしたとすれば、
建物に横からかかる力は重力加速度と同じIGです。
地震というのは、ほんとうは地面が揺れているのですが、
慣性の法則があるので建物が横に揺れていると見立てます。
その時に1G=980ガルであれば、
真横にして建物の重さと同じ力で、
横から引っ張られている強さということになります。
ですから関東大震災の、400ガルというのは、
建物の重さの半分以下の力で引っ張られているということです。
ただこの加速度の数値は、震源地からの距離によっても違います。
関東大震災では、震源地から相応に離れた場所での
計測であったと考えられます。
阪神淡路大震災で計画された加速度は818ガルです。
さらに、新潟中越地震では1000ガルを超えました。
そして東日本大震災では2000ガル以上とされています。
地震計が増えたからこそ、震源地の真上で測ることが
できるようにもなり、関東大震災の基準では
力の強さが足りないこともわかってきました。
だからこそ、日本では耐震基準が何度か変更されてきました。
大きな変更は、1981年と2000年の基準です。
昭和の耐震基準の変更は、考え方も含めて大きな変更であり、
その前、つまり1981年以前の建物は、
基本的に耐震性が考慮されていないと考えます。
ですから築38年以上の建物は、
地震で壊れても当然ということになります。
そして、築19年以上の建物は、
地震対策がまだ不十分であると考えられます。
難しい言葉で表現すると「既存不適格」といい、
現行法上では不適格な住宅とされます。
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