下請けと元請けの関係
皆さんこんにちは、五十嵐です。
Bさんは、知合いの設備業者から
Y社を紹介されていました。
実は、その設備業者から
「今回はうちの工事を安くするから、Y社で契約してください」
という話をもちかけられたそうです。
これまで付き合いのある業者から
「自分の工事金額を安くする」
とまで頼まれると、やはり情が移ります。
◎「安くする」の落とし穴
以前の日本企業の強さは、
メーカーや元請けをピラミッドの頂点とした、
「協力業社会」(つまり「系列」)という
存在を抜きにしては語れませんでした。
「系列」という仕組みは、
経済が右肩上がりの時勢にはうまく機能しました。
親会社への貢献度(つまり購買運動)が高ければ
発注量も増大していたのです。
自動車メーカーなどは顕著で、他社の車では
工場内への侵入さえもできません。
そこにはコスト競争力や技術力よりも、
忠誠心が求められていました。
しかし現在、国際競争力が必要な業界では
「系列」という枠組みが既に崩れていることは
ご存じの方も多いでしょう。
では、住宅業界はどうでしょうか・・・・・・?
大手住宅メーカーは、自社に職人や技術者を抱えて、
直営で工場をしている訳ではありません。
ほとんどが、地域の工務店や専門工事業者に外注しています。
外注先(つまり下請け)は、
メーカーを頂点とした「協力業社会」の一員です。
実は「協力業者」になるには、単に
「仕事をさせて下さい」というだけではダメなのです。
大手の協力業者になるには、
数百万円の保証金を負担しなければなりません。
アパートを借りる時の敷金同様、
金利のつかないお金を預けるのです。
一戸の住宅建設には20種類を超える業者が工事に入ります。
しかも、当然のことながら、1業種1社ではありません。
さて、一体どれだけのお金が積まれるのか・・・・・・?
(これは、後でお話しします)
お金を出して「協力業者」になったのだから、
どんどん仕事を出してぇ~!!
(「指定業者」ともいいます)
『甘い!甘い!!』
まずメーカーは、協力業者に
「紹介キャンペーン」を要請します。つまり、
「一定期間中に新築をするお客さんを探して来なさい!」
ということです。
「そうすれば、継続的に仕事を出してあげましょう・・・・」
「年間、〇棟以下だったら、来年から指定業者を外します。」
まさに、アメとムチの手法ですね!!
(話が遠回りしてしまいました・・・・)
という立場が、Y社の下請けの設備業者さんです。
何としてもY社に受注させなければ、
今後の取引はないかも知れません。
そこで、切り札!!!・・・・
「うちの工事金額を値引きます!」
☆悲しい決断ですね….
自社の売上や利益を切り詰めてでも、
元請けに貢献しなければならないのです。
ここからが、また問題です。
値引いた証拠がどこにもないのです。
仮に、金額を安くしたとして、
仕様を落としてもBさんには気づかれません。
こうして、下請け業者が苦しむか、
グレードを勝手に落とされるか。
Y社を選んだことで、そのいずれかを
Bさん自らが選択したことになります。
(Y社に限らず、展示場を持っている大手メーカーは同様です。)
地元の中小企業が、現金を担保に取られ、
地元のお客さまの新築情報を
大手ハウスメーカーに伝えなければならない実態。
高くなるのが分かっていても・・・・
背に腹は替えられない!!!
まるで、封建制度だと思われませんか?
こんな中、一体誰が泣き、
誰が笑うのでしょうか・・・・?
◎業者負担金はいずこへ?
指定の協力業者からの保証金の
預かり金額は莫大なものです。
これらは、実はモデルハウスなどの投資に使われています。
いずれは返す可能性のあるお金ですが、
すぐに返す必要もないのですから。
(返されるのは指定業者から外れるときです)
バブル時代のゴルフ場開発や
エステティックサロンなども、
設備投資は最初にお客様から預かった
会員権や入会金などで賄っていました。
入会希望者が多く、利用者も多ければ
十分ペイできていました。
ですから豪華な施設をつくり、
高いお金を取っていたのです。
住宅展示場のモデルハウスも
同じ構造といえるでしょう。
わざと豪華に、広々とした空間を
つくっているのですから・・・。
公的年金保険料を使った健康福祉センターなどが、
格安で売却され社会問題になっているのは
ご存知でしょうか?
売却損は、結局、広く国民負担となってしまいます。
では、協力業者に出させてつくった豪華なモデルハウスの
コストは一体誰が負担するのでしょう・・・・?
展示場に来た人が、入場料を払って負担するのでしょうか?
それとも・・・・。
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